第六話 飽く迄も ページ6
「クソッ、なンで餓鬼なんかに説教されなきゃいけネェんだ!」
強盗が逆上し、胸ポケットから拳銃を取り出した。そして其れを傍に居た子供の頭に向ける。
「御前等、此奴が如何なッても良いのか!」
「……は、」
女の子は硬直して動けないようで、ガタガタと震えていた。
「ウッ、ウェ……ヒッグ」
女の子がスカートを引っ張り、目から大粒の涙を零していた。其れに気づき始めた群衆が固まった。
先程喋っていた探偵は何も言わず、只此方を眺めていた。
「誰かッ……助けてぇ......」
「チッ、騒ぐなよ。コレだからガキは嫌いな___」
「………良い加減にしろよ、御前」
堪忍袋の緒が切れたように、強力なαのフェロモンを其奴に向ける。飽く迄牽制の意味として。
だが少々相手にはきつ過ぎたのかもしれない。男はガタガタと震えだし、床に座り込んだ。其れと同時に私も開放され、やっと自由になることが出来た。
「オ、御前ッ真逆アル」
「おーっと、Shut Up」
強盗の唇に人差し指を当て、薄っすらと笑みを浮かべる。
「───静かにしないと殺しちゃうよ?」
冗談のつもりで云ったのだが、其れを本気と捉えたらしい。強盗はコクコクと頷き、それ以降何も喋らなくなった。
周囲は一体何が起こったのか分からず固まっていた。フェロモンは強盗だけに当てたため、彼等は気づいていないのだ。強力なフェロモンが私から出ていたことが。
「大丈夫だったかな?」
泣いていた女の子に近づき、そっと頭を撫でる。
「……ッうん。全然怖くなかったよっ!」
にーと歯を出して笑った。我慢させてしまっただろうか。そう思っていると、女の子の母親らしき人物が近づいてきた。
「真莉愛っ」
「……おかぁさん!」
母親はそのままギューと力強く抱きしめ、其の子が生きていることを確認した。
「本当に、本当に有難う御座いました」
その後、母親はペコペコと何度もお辞儀をしてきた。
「いえいえ、私の方こそ無理をさせてしまい申し訳ございません」
これぞ憧れのイケメンお姉さん。私はフッと格好つけて笑った。
話していたら女の子がトテトテと近づいてきた。そして私のスカートをギュッと引っ張り、小さく背伸びをした。
「おねぇちゃん、有難う!」
「………此方こそ、如何致しまして」
∞
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
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