検索窓
今日:15 hit、昨日:13 hit、合計:17,958 hit

第四十話 行ってらっしゃい ページ44




「事務員は荷物を纏めて直ちに県外へ退避せよ!」



遂に本格的な戦闘が始まるようで、事務員に退避の命令が下された。私が避難する場所はナオミちゃんや春野さんが泊まる予定の宿舎と同じ所。

先程から誰か居ないなと感じていたのだが、其れは如何やら鏡花ちゃんらしい。一体彼女の身に何が起こっているのか、私は知る由もなかった。



「Aさんッ!」

「お、如何かしたの敦くん?」

「行く前に、一寸云っておきたいことが在って…………」



駆け寄ってきた敦くんが息を整えて口を開く。



「僕、頑張ります。鏡花ちゃんも探し出してみせます。誰一人として欠けぬよう、守りきってみせます。だから───

 死なないで下さい。絶対に」



手を掬われて強く握られる。彼の真剣な目が私の胸を貫いた。私よりも年下の少年の筈なのに、彼はもう立派な一人の男の顔をしていた。



「……その台詞は私こそ云うべきものだよ。か弱い少女でも無いのに守られちゃって、本当に申し訳ない。無理はしないでね、拙いってなったら直ぐに逃げるんだよ。あと其れと───

 敦くんも、死なないでね。約束だよ」



守らなかったら針千本飲ますからね、と念押しすると、元気な声で「はい!」と返ってきた。これでマジで針千本飲ませることになったら如何しよう。変な冷や汗出てきた。

他の残る探偵社員にも話し掛けたかったところだが生憎皆忙しい。今話し掛けたところで邪魔にしかならない。



「Aさーん、そろそろお時間です」

「すみません、今行きます!」



荷物を持って春野さん達の所へ駆け寄る。忘れ物はないかの確認を済ませ、探偵社の玄関ドアの取っ手に手を掛けた。

それじゃあ、



「行ってきます」



名残惜しくも手を離し、探偵社を後にした。
____又必ず、全員揃って戻ってこれますようにと願いを込めて。

𝐹𝑖𝑛.

貴方に未來が在るのなら→←第三十九話 血塗られた戦況 



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , オメガバース   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:サラミザラ | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年10月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。