第三十七話 にゃにゃにゃにゃーん ページ40
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肩を少し震わせて後ろに振り向くと、珍しく息を切らした乱歩さんが立っていた。
「乱歩さ───ゴファッ!!!」
猪突猛進、とでも云うように私目掛けて飛び込んできたを支えきれずによろける。うぇっぷ。
今日の彼は、何時にも増して随分子供のように見える。
「……心配、したんだから」
むすっと頬を膨らませて云う。怒り方が可愛らしくって、つい笑ってしまった。
____が、気づいた時には左腕を取られていた。
「に゙ゃっ!?」
左手を覆っていた右手は易易と退けられ、その神々しい光が散りばめられた指輪が露わとなった。
「…………………へぇ」
乱歩さんが意味有りげな一言を漏らし、するりと私の指の間に自身の指を挟める。
強く手を握り、妖しい微笑を浮かべて口を開く。
「これ、なぁに?」
その言葉と共に、探偵社は静寂に包まれた。
其の時間がどれ位だったかは人其々だろう。たった寸分に感じたかもしれないし、悠久の時に感じたものもいたかもしれない。私は間違いなく後者である。
「……わぁ、結婚なさったんですね、御目出度う御座います!居なくなっていたのはそういう理由だったんですね、確かに色々と準備がありますし。結婚式、呼んで下さればお牛さんをリングボーイにして頂けたのに、一寸残念です」
一人ニコニコと天使のように微笑みを浮かべて拍手をする賢治君。全ての地雷を踏んづけている気がする。
「Aさんが……結婚?」
「あらあら、もう意中のお相手がいらっしゃったんですね。あの時云って下されば良かったのに」
放心状態になっている敦くんと、不満を漏らすナオミちゃん。
すると、先程から動きがなかった太宰さんが私達に詰め寄り、乱歩さんと私の間に割り込んだ。
私の手を取り、指輪に触れる。其の儘真っ直ぐ引っ張った。
「いた、イダダダッ!!!」
指輪を抜こうとして引っ張ってくる。骨が、骨がァァァ!!!!
「痛いです真面目にッ!!ほんとっ、勘弁して下さい!!!!」
涙目で訴えると、流石に太宰さんも可愛そうだと思ったのか辞めてくれた。
未だ骨に痛みがある薬指を抑えながら、目元の雫を手の甲で拭き取った。
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
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