第三十六話 好きだよ ページ39
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何時も馬鹿みたいに周りを彷徨いていたから、「私の第二の性のこと云っちゃ駄目だよ」的な感じで圧を掛けられていたと思っていたのだが???
………つまり太宰さんは私に恋慕の情を抱いている、ということ。
ふぁっつ????
「……真逆其処からなのかい……嗚呼今迄の努力は何処に___否、でもコレで確信してくれたなら逆に攻めやすいと取るべきなのか。ふむ」
顎に手を置いて何か思案する彼。
次の瞬間、太宰さんの口元が二ヒリとひん曲がり、不敵な笑みを浮かべた。
「うふふ、じゃあ此れからはもっと君に近づこうじゃあないか。心も体も、全て奪ってみせよう」
彼の指先が伸ばされ、私の顎を軽やかに掴み取る。
「────覚悟しておき給え」
互いの鼻先が当たってしまいそうな程近距離に接近した顔。彼の鳶色の瞳が真っ直ぐと私を見ている。
嗚呼嫌な予感しかしない……私はあるある夢小説の主人公じゃねェー!!!!
「さっきまで感傷に浸ってませんでしたっけ……?運命には逆らえないとか何とか」
先程まで悲しんでいた弱々しい男は何処に行ったのだろう。この様子の代わり具合は明らかに常人ではない。
「嗚呼、あれは………………冗談だよ。君の心を掴む為のね」
冗談冗談、とあっさり云い切られてしまった。
余りにも軽々しく答えてくるものだから、其れが本当なのか嘘なのか、私には見分けが付かなかった。
彼の本心を知る者が、果たしてこの世に何人いるのだろうか。
きっと其れは、彼と同じ変人に違いない。
「却説、話も終わったところだし、そろそろ戻ろうか。皆が心配している頃だろうし」
「さ、行こう」と手を差し伸べる彼に左手を伸ばす。
が、見られたら憂慮すべき事態に陥る物が嵌められていたことに気づき、直ぐ様手を背中に戻した。
「早く行きましょう、ね」
此方を怪訝そうに見つめる彼を急かし、社員たちが待つオフィスへ移動した。
「すみません、ご心配お掛けしました」
「否、お前がちゃんと帰ってこれただけで安心した。失踪時何があったかは後で聞く。今は取り敢えずゆっくりしておけ」
少し顔を綻ばせる国木田さんに心を打たれる。ギャップ萌えってやつか。
そう云えばの話、乱歩さんの姿が見えない。殺人事件の捜査にでも協力しているのだろうか___と思った刹那、探偵社の扉が大きな音を立てて開かれた。
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
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