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第二十九話 貴方は賢いのに ページ30




「はい、残りの一個」



そう云われたので貰おうとすると、ヒョイッと林檎を取れない位置まで離された。

私がハテナを頭に浮かべている間に、森さんは「ふふ」と云って妖艶な笑みを浮かべた。



「最後くらいあーん、をさせてくれないかい?」

「絶ッッッッッッ対に嫌です」



恥ずかしすぎて死んじゃう。大の大人がそんな事出来る訳無い。



「まぁまぁ、そんな事云わずに、ね?お願いだよ」

「うっ…………」



目の前まで迫られて近付けられる一切れの林檎。私は其れより彼の首元に視線が泳いでいた。

ベッドの背もたれまで身を引いている私に対し、森さんは鼻が触れ合いそうなくらいまで近づいている。つまり、其処まで身を乗り出しているという訳だ。当然服が下に垂れ下がる、もう狙っているとしか云えないポジション。



もう自棄糞(ヤケクソ)だ、えいっ。



私は頭を冷ます為にパクリと林檎を口に入れた。



「んふふ、良く出来ました」

「……………おいひい」



何処産だろうかコレ。矢っ張り青森か?


現実逃避をしようと日本地図を浮かべたが、目の前の欲望に掻き消される。駄目だ次は世界地図。其れでも丸出しになった果実が在ると無理らしい。



「あの、首元はちゃんと隠して下さい」

「最近どうも暑くってねぇ、首元を開けないと体が温まってしまうんだよ」

「でもっ」

「………其の理由は?」



この人絶対判ってて云ってるよな。


然し、云わない限り隠すつもりは無いのだろう。狡猾な笑みをした彼の方を見ないように、自分の紅潮した顔を後ろに向ける。其の儘彼の襟元を上に引っ張った。震える口元を開き、何とか声を絞り出す。



「……………食べたく、なっちゃうじゃないですか」



遂に恥ずかしさが限界に達した。


嗚呼もう死にたい、穴が在るなら入りたい。真逆自分がこんなセリフを云うだなんて夢にも思っていなかった。
心の中でそう思いながら、耳迄紅くなった顔を手で覆う。



数秒経っても音沙汰の無い空気に違和感を感じ、覆った手の指を少しずらして森さんの方を見た。

────だが、気が付いた時には視界が真っ暗になっていた。


第三十話 ごめんちゃい♡→←第二十八話 毒入り林檎



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , オメガバース   
作品ジャンル:ファンタジー
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラミザラ | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年10月25日 23時

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