第十六話 貴方の理想 ページ17
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「……別に番が欲しいと思ったことはないです。何なら恋人や結婚相手は同じαやβでも良いし、此の儘独り身でも全然良いんじゃあないかと。
アッ、私がもしαだったらそう考えると思います!!」
「…………ほほう?」
誰かがそんな微妙な回答をした時、「バンッ」という大きな音と共に扉が開かれた。私が振り返る隙もなく、行き成り入って来た其奴は力強く腹を抱きしめた。
……こういうのやる奴一人位しか想像が付かないんだよなあ。
チラリと視線を下に向け、腹に巻き付いた男に声を掛けた。
「あの、離して下さい。太宰さん」
「やだやだ捨てないで見捨てないで。君独りじゃ絶対生きていけないよ?と云うか私を一緒に連れてって引き摺り回して。嗚呼そうだ一緒に心中でも──」
「アンタを拾った覚えはありません!!!」
思わず変な事を云った気もするが其れは彼が悪いと思う。本当にお腹をこれでもかと云う程キツく抱き締めて来るから離れて欲しい。
其処で私はと或る事に気づいた。
「真逆、最初から全部聞いてたんですか?」
「逆にこの状況で聞いてないとでも?」
「…………そうですか」
私はスッと顔に薄笑いを浮かべ、太宰さんの顔を真正面から見た。因みに他の女性陣もである。
昔から良く云われているでしょう?
___男は女の恋愛話を盗み聞いてはならない、と。
太宰は冷や汗を流しながら引き攣った笑みを浮かべた。
……拙い、やらかした。
只、只一寸した好奇心だった。女性陣が話しているなと思って、一寸盗み聞きしただけだった──筈。
給湯室に一人の悲鳴が響き渡った。
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
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