病みすぎ警報

20＋０そらる ページ21

Aのあの匂い



あれは絶対まふまふの匂いだ



相方の匂いだからよく分かる。



でも、だからこそ、忘れることもできない



こんな気分じゃ歌も歌えないし



会って直接聞くのがいいんだろうけど



正直そんな勇気もない



とりあえず、整骨院に行こう



整骨院は歌い手として安定した収入が得られるようになったらやめる気だったんだけど



なんだかんだ思い出深くてなかなか離れられない。



今は週に一回しか行ってないけどそれでも俺を指名してくれる人もいるからできる限り頑張ろうと思ってる。



ふらりふらりと歩きながら整骨院に着き、



着替え室に行って白衣に着替える。



えーと、今日は誰が来るのか……



いつもの癖でつい最終受付の６時に目がいく。



そこには柊Aの文字



マジかよ



そ「タイミング悪すぎかよ」



なんて、口に出しながらも自然と笑みがこぼれる



あー、大好きなんだな、俺



この歳になって何やってるんだ



なんて、自己嫌悪しながら



あー今日も遅れて来るんだろうな



と考えてしまう。



今日はどんな服着て来るかな？



そういえば、美容院の人と仲良くなったとか言ってたな



あの髪色にあってたな



次々にいろんなAが蘇る



可愛かったり、綺麗だったり、面白かったり



俺、相当気持ち悪いな



気づいたら最終受付になっていて例によってAはまだ来てない。



はぁ、連絡するか



「ちょっと」と言ってにやける口元を手で隠して外に出る。



プルルルルル


プルルルルル


プルルルルル



『は、はいっ』



そ「おまえ、今どこ？」



『え、えと会社の受付です』



そ「はぁ、迎えいく」



『いぇえ"え"え"！？どうしたんですか。熱でもあるんですか？彼女にでも振られましたか？頭おかしくなっちゃったんですか？あ、元からですか。そうですか』



そ「いや、頭おかしいのおまえだよ

車で行くからビルの下で待ってろよ」



『え、いいんですか？まさかとは思いますけど料金二倍とかないですよね？』



そ「そんな新宿のバーみたいなことしないよ」



『えー私電話番号無理やり登録されたんですけどぉ』



そ「いつも遅れて来るお客さんを勤務時間外に見てやってるのは誰かな？」



『もう、青空整骨院だいっすきです。先生も本当に優しくて〜できることなら毎日通いたいぐらいですよ〜』



そ「でた、受付嬢の本気」

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