7、逢引 ページ9
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折角だから少し歩こうと、彼女を連れて散歩に行くことにした。
「今日もお母さんの目を盗んできてここまで来たのかい？」
「うん。まぁこれくらい、どうってことないよ。
治くんは…、仕事とかしてないの？」
「それがね…昨日も今日も抜け出してきたのさ」
「最低…」
これは実質逢引だろう。
私は国木田くんの目を、彼女は母親の目を盗んでここまで来た。
同じ抜け出してきた者同士、やっとの思いでここに会えたのだと思うと浪漫を感じる。
据わった目で見つめてくる彼女の視線が嬉しいようで痛いが。
「君も修道女という役職に就いているのだろう？人のこと言えないじゃないか」
「私はちゃんと役目を果たしているから。果たしたうえで抜け出してるの。
…でも今日は危なかった。裏庭から出ようとしたらママに見つかって、咄嗟に玄関の掃除してくるって言って誤魔化してきたんだ。
ちなみに昨日もこれで抜け出してきたの。我ながら天才的な回避だったわ…！」
「それ絶対バレてるよ」
「バレてないよ。“お帰り。お掃除ご苦労様”って、言っていたもの」
「あんなにずぶ濡れだったのに？」
彼女は自慢げに鼻を鳴らした。
それは彼女の頭が緩いのか、母親の頭が緩いのか。
この様子だとおそらく前者なのだろう。私に神の教えを説こうとする割には、随分沈着さに欠けているらしい。
なんて愉快な修道女さんなのだろう。
「優しいお母さんなんだね」
「うん！」
彼女は私の言葉を嬉しそうに頷いた。
そうして、私たちは昼間の心地いい日差しに照らされながら、のんびりと歩いていくのだった。
△▼△
「よし、今日は自 殺しなかったね」
「それはまぁ。君みたいに可愛い子が隣にいれば、心が踊って死ぬ暇なんてないよ」
「なっ…！こ、このっ、いい加減冗談よしてよね！」
いつまでこの反応をしてくれるのだろう。
この表情を見るたびにまた意地悪をしたくなるし、とても惹かれる。
どの女性も魅力的なものだが、このようなことを言われて軽くあしらったり、調子付く人とは違う何かがあるのだ。
正直、20歳までいくとこの性格は逸材だと思う。
「冗談なんかじゃないよ。また明日、君に会えることを祈ってる」
「仕事しなよ…」
じゃあまた明日、と彼女は早々に駆けて去ってしまった。
________“また明日”。
また明日、彼女に会えるだろうか。また逢引できるのだろうか。
そうして高鳴る胸に、私は微笑むのだった。
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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです！そうですね…！修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね！ (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2022年11月9日 16時
