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9、素晴らしい一日を君に ページ11

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「折角だから入ってみる?」

「ほっ、ほんとうにっ?!ここって入れるの?!」

「みんな入ってるじゃないか。さぁ、行ってみよう!」

「ちょっ?!まっ、待って。治くんっ___!」


彼女はまるで未知の神秘を前に怖気付きながらも、心の高揚が止まらない冒険者のような目をしていた。
そんな彼女の手を取って勢いよく華やかな門をくぐると、その瞳が更に輝きを増した。
けれど、まだ瞳の中の輝きに一抹の迷いと動揺が見える。


「さて、何処から行こうか?」

「何処からって…。ごめん、私よくわからない。こんなところ、初めてだから…」


さっきまであんなにもはしゃいでいたのに、いざ来てみると彼女は塩らしくなって縮んでしまった。

外出制限という彼女の禁忌はとっくに破られ、一時期的な自由を獲得している。
持論だが、この機を満喫する他ないと私は考える。
私だって仕事から抜け出した、大雑把に言えば無法者だ。それは彼女も同じである。

しかし、無法者には無法者の夢がある。その為に今私と彼女はいるのではないだろうか。

嗚呼、私に取っての夢とは…___________。


「…ふふっ。じゃあ、エスコート致しますよ。お姫様」

「やっ、やめてよ。恥ずかしいこと言わないでったら…!」


童話の王子のように、彼女の右手を両手で包み片足を跪いてみせると、彼女は顔を真っ赤にさせてあたふたとする。
周りからの視線が此方に集中するが、私にとってはどうでもいい。

そんなことよりも、彼女の慌てようぶりは眼福だ。私を嗜めることが多い彼女でも、今頼れる人が私しかいないものだから、巫山戯る私を前にどうしたらいいのかわからないのだろう。

彼女は困った表情のまま落ち着きを取り戻し、私と目線を合わせるようにしゃがむ。


「…やっぱりお願い、治くん。私をエスコートしてみて?」


その表情はわざとなのか。
身長差故に私のことを上目遣いで見る彼女は些か心臓を握られるような、えもいわれない気分になる。これが無自覚だとしたら相当ずるいものだ。

このような彼女の願いを断るなど、毛頭できるはずもない。


「勿論さ。今日という日を、素晴らしい思い出としてプレゼントしてみせよう。
…あぁっ!神に敬虔なる祈りを捧げる漆黒の姫君よ!
この手で貴女様を夢の国に誘うことができ、とても嬉しゅうございま」

「恥ずかしいからやめてっ!!漆黒の姫君って何なのよ!!」


そして更に巫山戯てみた私は頭に一発、彼女の手刀打ちを食らうのだった。

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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです!そうですね…!修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね! (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2022年11月9日 16時

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