17、極秘の資料 ページ19
国木田side
現場での調査を終え、うずまきにて昼休憩をとった後、社に戻る。
城崎のあの様子で、他の事件現場の状況を聞いても良いのだろうか。
いやそれだけなら鏑木でも事足りることなのだが、それでは互いの無罪証明のアリバイが…。
あまり良くない状況に頭を悩ませながら社の扉を開けると、太宰が書類を散らかして何かに読み耽っていた。
なんてことをしてくれるんだ…！
散らかしといて片付けしないくせに…！
そう一つ説教をくれてやろうと近づくと、はっと気がついた。
「太宰…！お前、その書類は…！」
「ん？お〜、国木田君おかえり〜！丁度いいところに来たねぇ。
これは君が軍警に頼んでいた、例の事件の調査資料さ。
一足先に拝見させてもらっているよ」
例の事件の調査資料。
それは城崎と鏑木が犯人として、疑いを掛けられている事件だった。
2人が無罪であるかどうかを調べる上で、事件のことを深く知ることが重要であると思い、軍警に足を運んで腰を低くして申し込んだのだ。
探偵社の長年の信頼があったおかげで、被害者の個人情報までも含んだ極秘の調査資料を頂いたのだ。にも関わらず此奴は…！
どうしてやろうかと頭が働く前に、俺の手が太宰の胸ぐらを掴む。
「貴様ｧｧｱ！！その資料はなぁ！！
社の長年積み上げた努力の上で成り立った信頼で作られているんだぞ！！それに！それは俺宛の資料で…！！」
「も〜五月蝿いなぁ。どうせ私の目にも通るんだから、どっちが先だなんて関係ないのだよ。とまぁ、そんなことより気づいたのだけど…」
そんなことよりとはなんだ、と追及する間も無く太宰が続ける。
「この毒ガス…とか言われてるやつ。
亡くなった人の体内では確認されているのに、事件直後の現場では発生源はおろか、毒ガスなんてなかったものみたいに、綺麗さっぱり消えてしまっているらしい。
室内で起きたことだから、事件直後に確認すれば多少は発見される筈なんだけども…」
「…異能力による犯行、というわけか」
「間違いないと言っても過言じゃないね」
叱る気も失せて太宰を離す。
異能力による犯行であれば、十分な警戒をしなければならない。
これ以上被害を増やすわけにもいかない。増やしてたまるものか。
きっと、城崎と鏑木の依頼でなくても、俺たちの手が及ぶ事件なのであっただろう。
ならば依頼も事件の解決も励まなくては。
「国木田く〜ん、この資料片付けてぇ〜」
「自分でやれ！！」
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2021年12月21日 23時
