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21話 ページ23

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「てっ、鐵腸さん、私_____…っ!?」


漸く面と向かって鏑木と話せる。
そう勢い余ったせいか、彼女が何か言いかけた最中に両肩を掴んだ。
彼女は目を丸くして俺を見上げる。


「きちんと礼をしなければと思って探していた。
ありがとう。心配してくれたのも、止血をしてくれたのも、嬉しかった」

「…っ、そんな、お礼なんて言われるようなこと…。
大体私が悪くて…_________」


彼女は俯いて己を悲観した。
まるで迷子になった幼子のようだった。純粋無垢で親切な彼女の悲しむところは、先ほどの胸が締め付けられるような気持ちを思い出させる。

そんな優しい彼女だからこそ、これ以上涙を流させてはいけない。
こうまでさせては、俺の掲げる正義に傷が付く。


「鐵腸さん…?」


俺よりも一回り小さい彼女の背丈に合わせて、目線の高さを揃えるように体を屈めた。
そしてあやす様に、彼女の頭に優しく手を添えて撫でてみる。

潤んだ瞳のまま、彼女は驚いた様に瞬きをした。


「あの時、怪我を負ったこの手はこうして頭を撫でれる程度に回復している。…いや、元より平気だが、お前が過度に心配する程ではない。

だから泣かないでくれ。
心優しいお前が泣くところを、もう見たくない」


ありのままを訴えた。心の底から、伝わって欲しいと切に願いながら。

彼女の瞳が更に潤んだ。だがそれに負けじと袖で荒っぽく涙を拭う。
その先には曇りが晴れたような、温かくて柔らかい、彼女のはにかんだ表情が見えた。


「……はい、いつまでも泣いていちゃいけないですよね。
ありがとうございます、鐵腸さん。次は迷惑かけないように頑張りますね」

「あぁ。共に励もう」


そうだ、その顔が見たかった_______。
思わず此方まで口角が上がってしまう。

結われた髪が少々乱れ、手に柔らかく纏わりつく。同時に彼女の人としての温もりも感じる。それが妙に心地いい。


「あっ、あのっ。その、ちょっと…!あんまり撫でられるの、恥ずかしい…から…!」

「…すまない。つい、」


不思議と気分が昂って、つい頭を撫でる手を退くのを忘れていた。
慌てて手を離すと、彼女が顔を熟れた林檎のように赤く染めているのがわかる。一体どうしてしまったのか。かと言って二度も触れようとするのは自分自身が阻まれた。

どうしてここまで惜しくなるものか、不思議に思うくらいだ。まだ微かに残る手の温もりが寂しさを彷彿させる。

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とっふ - わぁ……夢主ちゃん可愛い…最高ですね! (1月3日 17時) (レス) @page2 id: 521a35a539 (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - 最高です!続き楽しみにしてます!! (9月21日 20時) (レス) id: 2822ecfe2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2023年3月27日 22時

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