【QK】さながら茨を巻くように。【短編集】

・ ページ7

izw side


男子「榛原って結構良い顔してるよな」


いつしかの、女子がいない彼らの教室での会話が呼び起こされる。


男子「まあ確かに」

男子「男の免疫とかもなさそうだよな〜。言い寄られたらすぐ照れそうw」

男子「ワンチャンあるんじゃね？w」


榛原A。

別名茨の女王。

近付けば全員傷つける孤高の女王様。

…俺はそういう、自分の芯を持ったハッキリした人が好きだ。


男子「榛原狙おうかなぁ」


だから、こういう奴らに付き纏われる彼女は気に食わない。


女子「伊沢先輩、お話があるんですけど…校舎裏いきませんか？」


だから、利用した。


「ああ、いいよ」


彼女がよく出没するのは校舎裏。

大体他人の恋愛に首を突っ込んでいる。


「私が我慢ならないのよ！」


声が聞こえた。


「…もう少しこっち寄らない？」


そうして言い争って、機会を狙う。

彼女が話しかけてきて、ビンゴ。

全部計画通りだ。

そして俺が言い寄れば、下手な男は手が出せない。


男子「今度榛原に渡すプレゼントでも買ってこようかな」


そんなことを言っていたから、思わず後をつけた。

彼女がそこにいた。

そして嫌がっていたから、助けに入る。


「たまたまだよ。ちょうど買い物があったから」


なーんて、嘘だよ。


「それにしても貴方、本当に通りかかっただけなの？」

「それ以外に理由ある？」


なんて余裕で返してみるけど、嘘だよ。


ねぇ榛原さん。

榛原さんは悪女だなんて呼ばれてるし、自分でもそう思ってるよな。

…でもきっと、俺の方が悪役だよ。


君に茨を巻き付けたのは多分、俺だからね。


＊

▽指の約束＿tmr＿→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す