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いち、 ページ3

薄く瞼を上げると、其処に広がって居たのは見知らぬ景色だった。



広々とした室内に、白を基調とした高級そうな家具がずらりと並んでいる。如何も此れも私好みのモノばかり。



『………此処は、』



きょろきょろと辺りを見回すも、大した情報は得られない。其れ処か疑問は湧くばかり。



『ど、如何しよう、誰か、誰か……っ、』



手が震える。思わず手に目を遣ると、頑丈そうな作りをした手枷が。足にも、其れらしいモノが付いている。



ひッ、と息が止まり軽いパニック状態に陥ったが、一度深呼吸をして、ゆっくりと今迄の出来事を思い出す事にした。



然し(ながら)、何故此処に居るのかという理由は思い出せない。また頭がこんがらがって来た。



……そうだ、冷静にならなくては。



何時(いつ)もあの人が口酸っぱく、繰り返し私に告げていたじゃないか。



…っ、()ずは。



___私の父と母は、何方もポートマフィアの傘下組織に所属していた。



愛情深く、と迄は云えないものの、私自身が不出来であったにしては其れなりに愛されていたのだと思う。



幼少期から自分に異能が備わっている事は判っていた。だから、お父さんもお母さんも、進んで私をポートマフィアに加入させた。



卦度(けど)、そう上手く事が進む訳は無い。



私は自分の異能を制御する事が出来ず、数年もの間下級構成員の位置に留まる事となった。



ところが、唐突に時は訪れる。



『あ、れ……視える、』



異能というのは案外気分屋な様で、私は直ぐに其れの(すべ)を学び、深く深く迄掘り下げようと決めた。



父と母が仕える、首領(ボス)の為に___



「____A、」



いきなり名前を呼ばれ、びくりと肩を跳ねさせる。思考を潜らせていたせいで気付いていなかった、其の人の存在。



『だ、太宰さ……!!』



上司である彼の姿を目に映し思わず頬を緩ませれば、安堵からか口を走らせた。



当たり前だ。だって、記憶が未だちゃんと戻っていなかったのだから。

に、→←ぜろ、



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伊波トウナ(プロフ) - えっおわりです…?! (2023年2月16日 11時) (レス) @page17 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
湯川 - 終わっちゃったよ…あと26回くらい見れる笑 (2021年11月27日 7時) (レス) @page17 id: b53f4168a8 (このIDを非表示/違反報告)
天ぷら - 終わりなんですかぁぁぁぁぁぁあ (2021年9月12日 10時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 素晴らしいです。更新待ってます。 (2018年11月25日 1時) (レス) id: a0d4f48c92 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 太宰さんの一方的で押し付けるような愛の形が好きすぎて…!支配的な愛情表現がたまりません!応援してます! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千紘 | 作成日時:2018年8月9日 16時

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