じゅうご、 ページ17
『___開いた!!』
久々に聞いたなァ、Aの透き通った綺麗な声。凡ての部屋に迄善く響く美しい良音。
矢っ張り未だ駄目か。もう少し根気強く躾けよう。此の私が絶対と云う事を叩き直さないと。
監視部屋から出て、笑顔を浮かべる彼女の細い腕を手早くがしりと掴む。
其の瞬間の絶望した顔と云ったら。
『そ、んな、……太宰さ、だっ…て、……』
「…騙され易くて扱い易くて、そんな君が如何しようもなく愛おしい。卦度、此れは少し不味いなァ」
信じてたのに、そうぽつりと呟けば、更に青く成っていくAの顔色。悪いのは君一人なのに、如何してそんな瞳で私を見るんだい。
君が逃げなければ、あの場で私を大人しく待っていれば、そしてお帰りなさいと一声掛けてくれれば。
ぐい、と腕を容赦なく引っ張り、引き摺り込む。内鍵を掛ければ、其の儘Aの部屋へと連れて往った。
『い、厭、だざ、や、やだ、太宰さ……!!』
「五月蝿いなァ。其れに、其の言葉凄く耳障りなんだよねえ。黙って呉れる?」
ぴたり、と声が止む。素直で可愛い卦度、其れじゃあ済まされない。否、済まさない。
此の私に此の状況で、善く「厭」だなんて言葉を云えるよね。本当莫迦過ぎて嗤っちゃうよ。
寝台へ投げ遣り、小さく声を上げるAを
また彼女の居る部屋へと戻り薬を二錠取り出せば、先ず己自身の口に含む。続け様に怯えるAの顎をぐいと強引に此方へ回せば、口付けをした。
逃げぬ様に震える彼女の後頭部を掴みつつ、薬が乗った舌を其の儘彼女の咥内へ侵入させる。
『ん、んぅっ……!?む、ッん……!!』
抵抗を凡て抑えつけ、喉奥に転がし無理矢理飲み込ませる。私とAの唾液で流し込めば、彼女の喉はこくりと音を鳴らした。
「……ふふ、此の薬はね、一寸したキッカケに過ぎないのだよ。君が私の傍から離れたく無くなる、キッカケ」
自然と口角が上がる。嗚呼如何躾して上げようかな、如何愛して上げようかな。
凛とした声も素敵だ卦度、細く今にも途絶えそうな弱々しい声も、悪くないね。可愛い私だけのA。
終わり←じゅうよん、
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伊波トウナ(プロフ) - えっおわりです…?! (2023年2月16日 11時) (レス) @page17 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
湯川 - 終わっちゃったよ…あと26回くらい見れる笑 (2021年11月27日 7時) (レス) @page17 id: b53f4168a8 (このIDを非表示/違反報告)
天ぷら - 終わりなんですかぁぁぁぁぁぁあ (2021年9月12日 10時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 素晴らしいです。更新待ってます。 (2018年11月25日 1時) (レス) id: a0d4f48c92 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 太宰さんの一方的で押し付けるような愛の形が好きすぎて…!支配的な愛情表現がたまりません!応援してます! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千紘 | 作成日時:2018年8月9日 16時