六話 ページ8
「いい名前だね、まるで真暗な闇の中に光る一つの星のようだ。」
「そりゃどうも、こんなに殿方に褒められたのは初めてだ。光栄だよ。」
太宰の言い回しにも何ら笑顔でお礼を言う少女。普通の女性ならまずは引くであろう。
そして彼女の名前を聞いて敦は何か引っかかった。
(.........何だろう、何処かで聞いたような気が。)
「さあ、敦君。惚けていないで彼女を自宅までお送りするぞ。」
「惚けていません。というか太宰さん、何ですかそれ。
セクハラ、そう言われた太宰は確かに少女の右手を取り腰に手を回している。
敦にセクハラと言われても言い返しようがない
状態であった。
「なぁに気にすることはない。こんな扱いをされるのは今だけかもしれないしな。思う存分楽しませてもらうぞ。ははは!!!」
しかしそれでも嫌な顔せずに豪快に笑う少女。多分自分が周りからどう見られているか分かっていない様子であった。
敦はそんな二人に対して大きなため息を一つ、つく。
「はぁ、とりあえず自宅の場所を教えてもらっていいかな？そこまで送り届けるよ。」
すると敦の発言に少女は一瞬、戸惑ってから発言した。
「えぇと、私の家はここから遠いから........あ！ここからずっと真っ直ぐ歩いた所にある公園まででいいぜ。申し訳ないし。」
先程の笑顔とは打って変わって、少しひきつっているのに敦はまた違和感を覚えた。
「え、別にいいんだよ......。それに、ここら辺は何かと物騒だし。」
「いや、いいんだ。本当に気持ちだけ受けっとておくよ。すまないな。」
敦の好意を頑なに拒む少女。
目には先程の余裕は全く見られずここからすぐに逃げ出したそうにしていた。
(さっきからの違和感といい、この顔色といい.......そんなに知られたくないものなのかな。)
敦の不信感が見えたのか少女はまたいつも通りの笑顔を浮かべて言った。
「あぁ、本当にすまない。家が知られたくないっていう訳ではねぇんだ。ただ、私が掃除が嫌いで荒れ放題の家の周りを見られたくなくてねぇ。恥ずかしいばかりだよ。」
「なに、君の美しさがあれば荒んだ家まで豪華なお城に見えるさ。気にすることはない。」
「はは、そりゃどうも。でも本当に大丈夫なんで。」
今の発言にはさすがに引いたらしい。
時計の針は三時十分を指している。
確かにまだ明るい時間だから、そう思って敦は少女を公園まで送ることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 181人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (
レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります！♪( ´▽｀) 更新頑張ってください！ (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね！続き頑張ってくださいね！ (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏蜜柑 | 作成日時：2015年3月20日 20時
