四十七話 ページ49
「ｺﾞﾎｯ……！ｺﾞﾎｯ！貴様…！」
「ははっ、悪かったって。でもそうじゃなきゃお前さんから逃げられないし。」
芥川を目眩まししたあの一瞬でAは建物の屋根へと移動していた。
彼女の手には国木田の手帖が握られていた。
「悪いが今日はこれでお別れだ！多分お前さん、私に聞きたいことがあったんだろうけど……私は私でやることがあるんでね。それが終わったら……いいよ、捕まってやるから来な。」
そしてAは真下にいる芥川を見下ろして、笑ってから背を向けた。
「待て！ｺﾞﾎｯ！貴様……『やること』とは一体……！？」
背を向けていた身体をAはもう一度芥川の方へと向けて口を開いた。
「その内、『お宅』にお邪魔するから……お部屋を綺麗にしとけよ。ははっ。」
そう言って、Aはくすんだ青空を背景に何処かへと去っていってしまった。
芥川は朧気になっていく意識の中、必死に記憶を掻き出した。
「明日も来るから！待ってて、芥川！」
それは何時のことだったか。
Aのものであるこの台詞は芥川にとっては忘れ難いものだった。
何故か？
それは少し先の話でいつか明かそう。
彼女が去り際に撒いていった煙がただの煙ではないことに芥川が気づいたのはその場で倒れ込んでからだった。
「『来る』と言ったのは……貴様の方ではないか。」
意識が切れる直前、樋口の声が聞こえたのを最後に芥川は深い眠りに落ちた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「あっぶねぇ！！いやー、本当に危なかったなおい。」
太陽が出てきた空の下、Aは何処か解らない建物の屋根から屋根を渡り歩いていた。
彼女の手には、まだ汚れたパンが握られている。ふと、それに目を落とし彼女は歩くのを止めた。
『何故嘘をついた！？何故守れもしない約束などした！？！？』
蘇る、芥川の言葉。
「ははっ。本当はその『約束』、覚えているって言ったら……殺されるだけじゃ済まないよなぁ。困ったもんだ。」
再び歩き出そうとするAに激痛が全身を走った。
思わずその場に膝をついてしまう。
「………頼む、持ってくれ。」
あの時彼女は確かに「発煙弾」を出したはずだった。しかし出てきたのは睡眠作用を含んだものだった。
つまり、異能力がコントロールできなかった。
＿＿＿＿＿＿ 彼女の身体が崩れていくのが、始まった。
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (
レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります！♪( ´▽｀) 更新頑張ってください！ (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね！続き頑張ってくださいね！ (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏蜜柑 | 作成日時：2015年3月20日 20時
