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四十三話 ページ45

太宰の淡々とした推理に中也は黙って聞いているだけだった。




「ただ、その異能は『完璧』じゃないにしろ破壊力は充分に在る。そしてそんな彼女が持っていた携帯の中にはポートマフィアの超重要の内部資料。他の敵対組織が喉から手が出るほど欲しい代物だ。…………中也、ここまできたら解るよね?」

「…………。」




止めろ。


言葉は発さないが彼の頭のなかではこの言葉が渦を巻いて流れていた。

そんな中也を知っているのか、知らないのか、太宰は敢えて話を続ける。





「暫くもしないうちに、樫原Aはポートマフィアと戦争を起こすだろう。勿論、単独で。」




ガシャン、と大きな音が響いた。

中也が、太宰のカクテルグラスを払い落としたのだった。

店の奥に居た一人の客が険しい表情で振り返った。






「ったく………手前はとんでもねぇモンを持ち込んできやがって……巫山戯んな。」

「別に悪い話ではないと思うよ。私は私で欲しい情報が貰えた訳だし……。そっちだってこれで崩壊は免れるわけでしょ?これで平等(イーブン)だ。」

「何が平等だ、そっちの方が相変わらず有利じゃねェか。」

「んふふ、そんな事ないよ。」





割れたグラスを、マスターが回収しに来た。
太宰は笑顔で「うちの中也が、すみませんねぇ。」と言って彼にペコリと謝罪をする。

中也は取り外していた帽子を再び被ると席を立った。





「で?この後、どうする心算(つもり)なの。」

「決まってンだろ、こんな緊急事態直ぐ首領に報告だ。」

「確かに破壊的な『人工異能力者』といえど相手は一人だ。………『個人』で出迎えはしないの?」




立ち上がっていた中也を見上げるように挑発的な言葉を太宰は並べる。

中也は帽子を更に深く被り、鋭い横目で太宰を睨む。




「もし手前の言う通り、樫原が異能力者に成っていたンなら………その異能はポートマフィアが『組織』として警戒するべきぐらいのモンだ。」

「へぇ、なに、所長から(あらかじ)め聞いていたの?」

「そうだ。どうせ成功したら俺らの方に引き渡される身だったからな、樫原は。」

「ふぅん。それ、私には教えてくれないの?」

「五月蝿ェ、これ以上手前に遣る情報なんざ一つもねェよ。」




なぁんだ、つまらないの、と太宰は言って立ち上がる。そして中也の方をジロリと舐め回すように見た後に言った。






「それじゃあ精々、振り回されないようにね。」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時

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