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四十話 ページ42

「中也が帰った直ぐ翌日に?へぇ、随分と急な話じゃないか。」

「全くだ。その上、俺がそれを知ったのは『事が全て終わった後』。……何もかも首領にはお見通しだったって訳だ。」



中也は飲み干して空になったグラスをマスターの前へと置く。
マスターは何も言わずいそいそと新しいカクテルを作り始めた。



「まぁ話を聞く限り、随分と中也はその姫君にご執心だったらしいしね。それは森さんも障害になると思って敢えて君を『外した』んだろう。」

「ご執心なんてしてねぇよこの木偶野郎、殺すぞ。」




新しく中也の目の前に出されたカクテルは誰も居ない森林を思わせるような淡い、緑色のカクテルだった。照明に反射して、カクテルの水面に中也の顔が歪んで映る。




「で、その研究所抹殺の担当は何処だったんだい?まさか、姐さんみたいな幹部が直々に行くなんてそんな無駄な浪費は森さんは嫌う。」

「大方予想はついてる癖に言わせるか?この糞青鯖野郎が。」





言わせるように立ち回ってるんだよ、と太宰はお得意の笑顔で言う。中也はその言葉に更に虫の居所を悪くしたのか、出されたばかりのカクテルを無粋に一気に呑み干す。

そして口元を拭った後、小さい舌打ちをして続けた。




「………お前の想像通りだよ。研究所を潰したのは黒蜥蜴、そして芥川だ。」




太宰は中也の言葉に何も発することなく、黙って横目で彼を見ていた。



彼奴(アイツ)らのおかげで死体確認が阿呆みてぇに大変だった。加減ってモンを今度、みっちり叩き込んでやらねぇと…。」

「中也。」



何だよ、と何時にもなく真面目な太宰の呼び掛けに中也は少し戸惑った返事をした。







「研究所はどうやって潰したの?」

「確か………全員殺してから火をつけたと言っていた。」

「死体確認の時、ちゃんと全員分在った?」

「中には灰みてぇになってた奴も居たが、研究員、実験体、合わせて114人居たぜ。まぁ、詳しい身元迄は流石に解らなかったけどな。」

「その死体はその後どうやって処理したの?」

「んなこと俺が知るか。死体処理班に任せたからな。まぁ消し炭同然の奴らだ、(おおよ)そ海にでも捨てたンだろ。」

「そう………。」





暫くの沈黙の後、正面を向いていた中也はクルリと太宰の方を向き今までとは打って変わってシニカルな笑みを見せて言った。





「さァ、太宰。俺は俺の情報をたんまりとお前にくれてやった。次は……解ってるよなァ?」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時

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