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三話 ページ5

「全く......太宰さんは一体どこにいるんだ。」


小川に沿って肩を落としながら歩く少年。

中島敦だ。



「ちょっと目を離した隙にどこかに行ってしまうなんて......幼児と同じじゃないか、もう。」



ブツブツと愚痴を垂れ流しながら下を向いていた顔を上げる敦。

普通ならそこにあるのは桜の花弁を可愛らしく浮かばせながら流れていく小川の中流。


けれども





「え.......ちょ、あれって......」






そこにあったのは四本の脚であった。






「だあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」





敦は驚くべき速さで川へと飛び込み、その人物達を抱え込んで川の流れに押し流されないように必死になって川岸へと戻っていった。




「ハァ.....ハァ.....何やってるんですかァ!?太宰さん!!!!」




四本のうち、二本の脚の持ち主は勿論この人だ。




「やあ、敦君。君は相変わらず私の自 殺の邪魔をしたいようだね。」



クシュンッ、最後に一つの(くしゃみ)を付け加えながら太宰はそう言い放った。



「邪魔をされたくなかったらもっと静かに命の火種を消してください。.........それより_______」




太宰の発言を軽くあしらうと敦は残りの二本の脚の持ち主へと顔を向けた。



「太宰さん、いくら一人じゃ寂しいからって無理矢理連れて行くのはどうかと思いますが......。」

「待ち給え敦君、君は何か大きな勘違いをしてはいないかい?」

「勘違いも何も、あの状況を見て言い逃れが出来るとでも ___________ 」





敦と太宰が言葉を交えていた最中、別の音が聞こえた。



「..........ぁ......ぃ.......た。」



その音を聞いた瞬間敦はもう一方の人物へと駆け寄り話しかけた。



「あの!大丈夫ですか!?生きてますか!?返事をしてください!!!!」




肩を叩き、反応を求める。

幸いにもその人物は死への手綱は既に離していたそうだ。

伏していた身体を気怠そうに起き上がらせ顔を敦へと向けた。





「腹....、減った。」


「...........え?」





その人物、いいや。その少女は宝石のような目を敦に向けながら言ったのであった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時

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