三十六話 ページ38
「弟子って……お前はいつから俺の弟子になったんだ。」
「へ?勝手に決めた。勿論、私が!」
「はぁ……ったく。」
俺は目の前のやり取りをただ眺めているだけだった。その関係に俺は些か違和感を覚えた。
「なぁなぁ!アンタ、名前何て言うんだ?えらい小さいけど……私と同い年かい?」
「だぁれが小さいだってこの野郎!!!!」
俺はL-222、樫原の腕を振り払って大声をあげた。あの野郎、後で聞けば俺より年下だったそうだ。
「こら、L-222。そのお方は中原中也様と言って、未来のお前の上司になるかもしれない人だ。身の振り方を考えなさい。」
「へーい。中原中也、私の未来の上司ねぇ。なんか弱そう……。」
俺は最後に聞こえた小さな暴言に、無言でそいつの頬をつねってやった。
いひゃいいひゃい、とそいつは騒ぎながら俺に反抗した。
しばらくそいつの痛がる様子を楽しんだ後、所長が恐る恐る俺に言ってきた。
「あの、中原様……。」
「なんだ、やっぱ
俺は内心、少し焦ってすぐに樫原の頬から手を離した。そいつは大袈裟につねられた頬を撫でて俺を睨んでいた。
「いえ、そんなことはございません。ただ……。」
「ただ……?」
背中が痛い。樫原が俺の背中をポカポカ殴っていた。だが、俺はそいつを無視して所長の次の言葉を待った。
「時折、そいつのために話に来てくださりませんか…?勿論、中原様の都合の良い時で構いませんので…。」
「……はぁ?」
思わず間の抜けた声が出てしまった。
しかめっ面をする俺に対して樫原はすこぶるいい笑顔をしていた。
「なんだ!?中也、私のために来てくれるのか!?いやー、嬉しいなぁ。これで暇もいい感じに潰れるよ。」
「なに勝手に俺が来る前提で話を進めているんだこの全自動お喋り機が!」
そう言って俺が樫原の頬をまたつねろうとしたときだった。そいつの質素でダボダボの服から見えた胸元に赤黒い痕が大量にあった。
思わず俺は一瞬、動きを止めてしまいそんな俺を樫原は不思議そうに見ていた。
「……?どうした中也。」
「……いや、何でもねぇよ。___ 所長」
これは『ヤバイ』からどうにかしろ、俺の中で何かが叫んでいた。
そして決めたんだ。
「その話、俺がこいつに会っていることを首領に話さないことを条件にしてくれるなら……いいぜ。引き受けてやる。」
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時