二十九話 ページ31
「いいねぇ、桜の似合う男。嫌いじゃないぜ、私は。」
「喜びな、
「やぁ、少年。いや…………『人虎』君。」
「君だけがその異能を使えると思ったら…大間違いだぜ」
「君は…………『劣等感』を感じたことがあるかい?」
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「……!!」
風船が割れる勢いで目を覚ます敦。
しばらく目の前の天井へと視線を向け、それから辺りを見回す。
ここは探偵社の医務室だった。
怖ず怖ずと、身体を起こし自分に起きた出来事を思い出す。
「樫原……A……。」
その名前はあの少女のものだ。
夢にも出てきたAの一つ一つの言葉が敦の中で泡となって弾ける。
ぼうっとした意識の中で、ガチャリと誰かが扉を開ける音が聞こえた。
「おや、起きてたんだねェ敦。」
「与謝野先生……。」
入ってきたのは与謝野だった。
片手に白衣を持ち、もう一方の手には一枚の紙を持っていた。
その辺にある椅子に白衣を放り出し、与謝野は敦の方へと近づく。
「怪我の方はどうだい?アンタ、一週間も寝てたんだよ。」
「え!?一週間も……!?」
驚いた敦は咄嗟に近くにあった
「一週間も眠り呆けるなんて、そんなにイイ夢でも見てたのかい?」
「い、いえ……いい夢だなんて。」
あれはただの夢ではない、悪夢だ。
敦にとってあんなに濃い一日を過ごしたのは
そんなことを考えていると敦の目の前に一枚の紙が差し出される。
「これは……。」
「太宰からだよ。そこに写っている女について……アンタから聞いとけって言われてねェ。」
それは簡単な履歴書のようなものだった。敦は高まる動悸を押さえながらそれぞれの項目に目を通していく。そして最後に、右上に貼られた写真へと視線を移す。
「……!!!」
心臓がドクン、と大きな音をたてた。
そこに写っていた人間は髪は長いが、紛れもない樫原Aであった。
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時