二十七話 ページ29
それは紛れもない国木田の手帖だった。
「それはｯｯ!!」
「目ェかっ開いて焼き付けとけ。」
そしてすぐさまペンを走らせる音が敦の耳に伝わる。その頁に書いてある言葉は「閃光弾」。
『独歩吟客』
頁は光を纏いそこに書かれたもの、「閃光弾」へと変わっていた。少女は手帖を再びポケットへとしまい、敦に不適な笑みを向ける。
「ははっ！拳銃かと思った？残念でした。」
「待てよ!!その異能って……!!!」
「君は本当によく驚くな。なに、そんな珍しいもんじゃあないだろ。………ていうわけで ＿＿＿＿＿ 」
彼女は右手に持っていた閃光弾のピンをその艶やかな指で引っかけた。
そして翡翠の目を細めて顔を傾ける。
「『今日』はバイバイだ、敦くん。また『今度』会おう。」
「ちょ!!待 ＿＿＿ 」
その瞬間、思わず目を覆い隠したくなる程の光が辺りに弾丸のように飛び散った。堪えきれなかった敦はその場に伏せて目を覆った。
暫くしてから恐る恐る、顔を上げる。
つい一秒前まで目の前にいた少女は跡形もなくその場から消えていたのだ。
「一体……彼女は……。」
敦は静寂がたたずむ辺りの闇を見回した。
自分たちと同じ異能。
ましてや彼女の持っている異能は一つだけではない。
そして
「どうして……死んだはずじゃ。」
その時だった。急に敦の身体に途方もない傷み、疲労感が襲ったのだ。思わずもう一度地面へと伏せてしまう。先程までは動けてた、と言っても彼も甚大な怪我を負っている。
そして睡魔にも似た圧力が彼の意識を襲う。
不味い、そう感じた敦は自分のポケットから携帯を探す。
だが敦は気づいた。携帯は少し前に壊されてしまっていたことを。
圧力は徐々に威力を増していく。敦の瞼はもう限界まで来ていた。
(今の僕じゃ人一人呼ぶことも出来ない……でも、早くしないと二人が……。)
混沌とする思考の中、敦は不意に顔を上げる。
するとそこには月の光を受けて反射する一つの携帯が落ちていた。
それを見つけた途端、敦は最後の気力を雑巾以上にふり絞り地面に這いつくばって手に取る。
よく見るとそれは淡いピンク色の何ら変わらない携帯だった。
(この形……あの二人の物じゃない。だとすると)
しばらく考えた後、敦は携帯を開き拙い手つきで番号を打つ。
少しのコール音の後に聞こえてきたのは
『はーい、こちら武装探偵社の太宰治です。』
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (
レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります！♪( ´▽｀) 更新頑張ってください！ (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね！続き頑張ってくださいね！ (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏蜜柑 | 作成日時：2015年3月20日 20時
