貴方の顔はどんな顔？弐【鬼滅の刃】 (ページ31)

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漆拾漆ページ31

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｢まだまだ身体の方は全快とまでいきませんね。それにしても目を覚まして良かった、本当に心配していたんですよ｣

慣れた手つきで脈を測り、新しく包帯を巻く。

凛とした声は久しぶりに心を安らかにさせた。

『…ご迷惑を。まさかそんなに心配を掛けていただなんて』

｢本当ですよ、一週間前なんて…Aさん生死を彷徨っていたと言っても過言ではないんですからね｣

…前言撤回。

安らいだとは言わないでおこう。

寒気が背筋を撫でた。

『……今のは冗談では』

｢いえ、本当ですよ。怪我も炭治郎君達より酷かった。煉獄さんもそうですが…やはり貴女の方が誰よりも怪我を負っていた｣

煉獄さんは、片目が潰れたと聞いた。

視野も狭まって、恐らく今後苦労するに違いない。

…まあ、柱である分それほど心配には及ばないだろう。

柱であるためか、怪我の治りは私よりも少し早いとの事。

男と女の違いもあるかも知れないが。

｢煉獄さん、貴女が目を覚ましたという事を聞いてこちらに出向こうとしましたし、止めるの大変だったんですよ？｣

まだ完全回復もできていなかったのに。

と、胡蝶さんは付け加えた。

『…元気ですねェ、煉獄さんも』

｢全くですよ、今度貴女からも言っておいてください｣

福音で叱っておいてくれ、とも聞き取れる言い方だなァ。

｢でもまだ安静にしておいてください、恐らくようやく骨も修復を始めた頃でしょうから｣

『ヘェ、十分戻るまで動きはしませんよ』

胡蝶さんの言葉に頷く。

実の所、動こうという気には全くならない。

寧ろ今は昼夜を忘れるほど休んでいたい。

｢薬は出しておくので、飲む時間帯になればなほ、すみ、きよの誰かが来てくれますから｣

その言葉に、再度頷こうとしたその時

ドタドタドタドタ…

何かが勢いよく向かってくる音が聞こえてきた。

『…何かが』

｢はあ…｣

胡蝶さんがため息を吐く。

まさかこの足音は

｢おいゴラァ！！目ェ覚めたかよ花糸(はないと)ォ！！｣

｢Aさん大丈夫！？もうどこも痛くない！？俺めっちゃ心配してたんだよ！？？｣

『…ううん、なるほど』

胡蝶さんがため息を吐いたのはこのためか。

でも、なんだろう。

騒がしくて叱りたいはずなのに、なぜか微笑ましく思えてくる。

『…ふ、ふふ』

｢へ？！あえ、Aさん、目！！｣

気づけば

今まで人前で全く開く事のなかった目を開いて、笑っていた。