名前を授けて7 ページ38
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カチャカチャとガラスの擦れる音。
時々蛇口から水滴画落ちる音も何だかよく聞こえる。
作った肉じゃがに生姜焼き、白米も皆平らげてしまった。
箸は皆そこそこできるようになったし、暫くの間箸講座が行われる様な気もしない。
というか皆よく食べたなあ…結構量はあったつもりだぞ?
レオナルドとザップさんなんかガツガツ食ってたしね。
あれは笑うっきゃないわ。
『…ふへ』
ダメだ、思い出したらニヤける。
というか自分が作ったもの素直に喜ばれるのって純粋に嬉しいよね。
あーあ自然と頬が緩むというか何と言うか…。
「A君」
『ぅえあ、はい、何でショウカ』
呼ばれた方を向くと、クラウスさんがいた。
「…大丈夫かね?表情が…」
『あ、はい。ちょっと気が緩んでて頬が緩んでると言うか…お気になさらず』
「そうだったのか」
危ない危ない。
完全に表情筋おかしくなるとこだった。
腕で口元を隠すように拭っていると、クラウスさんが俺の隣に立つ。
身長差がえげつない。
「私も片付けを手伝うよ、昼食を用意してくれたお礼に」
『え、いいですよそんな。俺がレオナルドに頼まれて作っただけですし、そこまでは…』
「いや、私がこうしたいんだ。任せて貰えないだろうか」
…うぐ、上司の頼みとあらば断れん。
じゃあ手伝ってもらおっかな。
『ええと…じゃあお願いします』
「うむ」
了承したらまた花が飛んでるような笑みを浮かべるクラウスさん。
一見怖そうな見た目をしてるけど実は凄い紳士的でかっこいいから頼らないという選択肢はない様に思える。
というか頼らない選択肢が消される。
水を流して皿を水にさらす。
泡を流したらクラウスさんに渡して拭いてもらう。
クラウスさんも中々に手際がいい。
「そういえば、A君。君は日本人だという事をレオナルド君から聞いたのだが…本当かね?」
『ああ、本当っすよ。見た目から分かると思ってたんすけど…早々に分からないもんすね』
「ふむ、言われなければ分からないものだ。名前もそうだが、やはり見た目では判断しにくい」
そっか、そういや名前変えてたからそもそも気づかないか。
ボールドウィンって花屋のおばさん達のファミリーネームだからなあ。
『…名前がっつり外国名ですからね、俺』
そりゃ分からん訳だわ、我ながら盲点。
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とーる(プロフ) - ああ俺っ娘大好きですうう、、ありがとうございますうう、、 (3月3日 21時) (レス) @page13 id: 2c1a894765 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 男…?女…?どっち…? でも6ページで養女って書いてあるから女…? (2020年11月7日 17時) (レス) id: 4f6aa0ae22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - リャオトンさん» 読んで頂きありがとうございます(´˘`*)主人公好きですか〜めちゃくちゃ励みになる言葉を頂きました、感謝感激雨霰!引き続き投稿頑張らせてもらいます〜! (2020年4月27日 19時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
リャオトン(プロフ) - めっちゃ好きです!主人公が好きですね〜^ ^投稿頑張ってください! (2020年4月27日 1時) (レス) id: 4ccf657d3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず招き猫 | 作成日時:2019年8月20日 22時