夢ならどうか覚めてくれ

ライブラ4 ページ19

｢所でAさん｣


『おーよ、どうしたレオナルド』


ぎゃいぎゃいとK･Kさんに言われ続けるスティーブンさんを眺めていると、レオナルドが服を引っ張る。


｢この服どうしたんすか？偉く軽装ですけど｣


『んー…一応なるべく今後は争い事に首突っ込むんだからこんな格好の方がいいかなーと思って。新調した』


｢あー…なるほど？｣


『分かってねーな？』


レオナルドの言う俺の服装とは、上はカジュアルフードに下はランニングウェアだという事だろうか。


これは動きやすくて俺は好きなんだが何かダメなんだろうか。


『もしかして服の組み合わせ違いません？とか言ってくれるなよ』


｢いや言いませんよ！｣


言いませんけどその…と言葉を濁す。


『その、何？』


｢いや…ザップさんがさっきから見てると言うか…｣


その言葉を聞いた俺はちょいと指を振る。


後ろでべチンッ！と気持ちのいい音がした。


｢っでぇぇぇ！！？オメーやりやがったな？！！｣


『これは痴漢防止的な防御作用っすから文句言われてもどーしようも。て事でもう一発喰らいます？』


｢ザッケンナテメー！誰が受けるかっつーの！！｣


ズカズカと詰め寄るザップさんだったが、その途端頭上に脚が現れる。


上を向こうとした瞬間に、ザップさんが踏みつけられた。


｢何新入りに対してセクハラしようとしてんのよこのクソ猿。そのまま死ね｣


｢イヌ女てめぇぇぇ！！！｣


『うわ、すげぇ…』


｢いつもこんなんっすよ｣


ザップさんを踏み付けたのは突然現れた女の人。


顔も整ってて綺麗だ。


｢私チェイン・皇。よろしくね｣


『あ、どーも』


握手を交わすと、不意にぐいっと距離を狭まらせた。


｢さっきのいい一撃ね、やっぱもう一発ぶち込んどいて｣


『はあ…』


｢降りろやメス犬！！！｣


ザップさんが負けじと反撃しようとするも、チェインさんは軽々と避ける。


というか身体を腕がすり抜けた。


｢チェインさんは不可視の人狼って言って、身体を希釈させる事ができるんすよ｣


『適切な説明ありがとう、レオナルド。よく分かった』


正直、花屋よりは賑やか過ぎて飽きそうにない。


自然と頬が緩んでしまう。


｢どーしたんすか？Aさん、にやけちゃってますけど｣


『いやね




元いた所よりも、随分面白くて』


レオナルドは首を傾げたけども、俺は頬を緩めているのだった。

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