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失ったモノ、得た力 ページ11

静寂な暗闇の中で意識を取り戻す。


但し静寂な暗闇なのは最初だけで、意識が次第にはっきりしてくると目の前の景色もしっかりしてきた。


ぼんやりとした明かりと白い天井。


遠くで車のクラクションも聞こえてくる。


『う…』


自分はベッドの上に寝ている。


チラリと窓の外に目を向けると、辺りはすっかり暗くなっていた。


痛む身体をゆっくり起こす。


最終的には座る様にして、落ち着いた。


(ここって病院…だな)


恐らくあの後俺は運ばれたんだろう。


レオナルドが運んだのか、救急搬送されたのかは定かではないが。


(おばさん達心配してるかな…あとで電話しに行こ)


病院の公衆電話でも借りれば連絡出来るだろう。


あの夫婦は時々心配が度を過ぎる事があるため連絡は早めにしておいた方がいいかもしれない。


そしてふとベッドの脇を見やる。


そこにはベッドに突っ伏して寝るレオナルドが居た。


(こいつずっと居たのか…)


寝ているレオナルドの頭を軽く撫でる。


きっといい夢でも見ているんだな、それが少し…いやだいぶ羨ましい。


あれから自分の中で失ったモノは何か、ここ最近ようやくはっきりした。


俺は夢を失った。


だがそれは将来の夢とかではない。


寝る時に見る夢だ。


考えられるだろうか。


夢も見れない睡眠なんて。


寝たと思えばもう日が昇っている。


自分は本当に寝たんだろうかと毎日思う。


夜がこんなに寂しいものだったのかとも、思ってしまう程に。


だが夢を失った変わりに、あの力を得た。


簡単に言えば、植物を操る力だ。


夢の代償がこんなものだとは思わなかったが、自分がピンチになった時何度救われた事か。


…実はあの植物には助けられてばかりいる。


この街に来て1週間も経たない内、俺は夜によく出歩いていた。


攫われそうになったり襲われそうになった時はゴロツキ共を跳ね飛ばしてたっけ。


多分優に30は越していると思う、飛ばした数。


「キィ」


不意に鳴き声が聞こえる。


ベッドの上にちょこんとソニックが乗っていた。


『ソニック…』


「キ?」


一言名前を呼べば首を傾げるソニック。


そんなソニックの頬を俺はぎゅむっと掴む。


『お前は重症の俺に向かって…しかも寄りによって折れてる骨目掛けて飛んできやがってこの野郎…』


「ギ、キィ!?」


むにむにと頬を引っ張ったり縮めたりしていじめる。


なかなかの弾力だ、音速猿の頬って。

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とーる(プロフ) - ああ俺っ娘大好きですうう、、ありがとうございますうう、、 (3月3日 21時) (レス) @page13 id: 2c1a894765 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 男…?女…?どっち…? でも6ページで養女って書いてあるから女…? (2020年11月7日 17時) (レス) id: 4f6aa0ae22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - リャオトンさん» 読んで頂きありがとうございます(´˘`*)主人公好きですか〜めちゃくちゃ励みになる言葉を頂きました、感謝感激雨霰!引き続き投稿頑張らせてもらいます〜! (2020年4月27日 19時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
リャオトン(プロフ) - めっちゃ好きです!主人公が好きですね〜^ ^投稿頑張ってください! (2020年4月27日 1時) (レス) id: 4ccf657d3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず招き猫 | 作成日時:2019年8月20日 22時

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