藤と北の毎日。

. ページ31

Ｆsaid

ひろを宥め続け10分程たった。


中は寒くて暗いから余計寒く感じてしまう。


「けほけほ…、けほっけほっ」

元々風邪気味だったひろを悪化させる原因になった。


体がそろそろ限界なのか俺に全体重かけて寄りかかってきた。


「しんどい？」


「ちょっと…」


ちょっとって感じじゃないけど


「熱出ちゃったかな？」


首筋に手を当てると俺の手を握り

「たいの手気持ちい…」

頬にすりすりし始めた。


「ひろ、こっちおいで」

胡座で座りその上にひろを乗せて抱きしめた。


「お前あっちいじゃん」


抱きしめた背中や頭から熱が伝わってきた。



俺の腕をつかむひろの手はまだ震えていた。


「まだ…怖い？」


「…気持ち悪い…」



力なくぎゅっと抱きついてきた。


「圧迫される感じ…、気持ち悪い…怖い…暗いのやだ…しんどい……、ふっ、ぐすっ…」


嫌いなところにずっと閉じ込められてる、しかも2度目。

俺も早くでたいけどその何倍もひろは出たいはず。



「大丈夫大丈夫。おれがいるから。ずっと。ほら、泣かないよ。」



背中をトントンして落ち着かせる。
ストレス発散の涙じゃなくて不安から来てる涙だからまた過呼吸になっちゃうと思うし。


「もっ…やだっ…、よ…でたいっ…、」









ドンドン


「聞こえますかー？〇〇業者の者です。今からエレベーター開けますね。」



その声のあとにガタガタっと音がしてゆっくりと扉が開いた。



久しぶりの光に目眩がする。


「たっ、たぁ……ふぇっ」




「よしよし、怖かったね。ありがとうございました。」



そのあと業者の方と少しだけ話し、家へ戻った。





「ねえ、今日電気つけて寝ようね？」


「ええ？俺寝れないよ〜」


「だめ！消したらもう太輔嫌いだからね。」





しばらく眠れなくなる夜が続きそうです。

傷。→←ぱにっく。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す