好きな人の元カノが最悪だったので一泡吹かせてやろうと思う【松野千冬】

一泡吹かせる21回戦 ページ22

・





『やっぱ思うだけじゃダメだ。』





ショッピングモールで有栖ちゃんを見た日。


私はそう思った。


場地さんのいう通りだ。


伝えないと伝わるはずもない。





＿＿＿＿＿＿＿


[to .千冬]



今外出てこれる？
ちょっと歩こ。


＿＿＿＿＿＿＿





千冬にそうメールしてみた。


直接言った方が早いんだけど、なんだか恥ずかしくて。


うまく言えないと思ったから、メールにしてみた。


ピロリン、という音を立てて無事送信された。






トントン_________


しばらくして、窓が叩かれる音がした。


…シルエットからして千冬だな。


まぁ距離的に窓からじゃ千冬しか入って来れないけど。





『千冬が窓から来るなんて珍しい。』




「おじゃましまーす。いつもの仕返しな。」





私は窓の鍵を開ける。


千冬は開けっ放しが多いけど、私は閉めてる事の方が多いかな。


千冬は私の部屋に入るとニヤッと笑ってみせた。


メールを見て来てくれたみたい。





「何でメール？いつもみたいに不法侵入すれば早いのに。」




『…まぁ、なんとなく。』




「んだよそれ。笑
　んで、歩くんだろ？行くぞ。」




『あっ、うん！』





千冬が玄関に向かうので、私も大人しく着いて行った。


2人で話すのはなんか久しぶりな気がする。


千冬に彼女がいる期間は控えてたし。





「なんか久しぶりだな、この感じ。」




『そうだね。なんか落ち着く。笑』




「だな。笑」





団地の外に出て、行く宛てもなく歩く。


小さい頃もたまにこうして、ただ話しながら歩いてたっけ。





「昔さ、この辺でA転けたよな。」




『あー、すごい痛かったの覚えてる。笑』




「俺もどうしていいかわかんなくて、一緒に泣いてた。」




『千冬がお母さん呼んできてくれたんだっけ。あの時から、千冬って優しいよね。』




「褒めても何も出ねぇぞ？笑」






千冬と話してると、話題が尽きることがない。


沈黙が流れても気まずくもない。


小さい頃から好きな時間。


行く宛てもなく歩いていたら、近くの公園にたどり着いた。


千冬がブランコに座ったので、私も横のブランコに腰を下ろす。






「…A、なんかあった？」




『なんで…？』




「急に歩こって話したいことあったんじゃねぇの？」






千冬ってこういう所、全然変わってないなぁ。


私が悩んでるとすぐ気付いちゃうんだもん。

一泡吹かせる22回戦→←一泡吹かせる20回戦

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す