高専三年生さんは、狂っている。

・解放 ページ43

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『あ゛っ……』



柔らかな感触を、里香は感じた。



『あ゛ぁ……』



温かな熱を、里香は感じた。





『ぁぁぁあああああああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛、あ゛、あ゛、あ゛』




そこに込められた、憂太の愛を、里香は感じた。




───憂太が、抱きしめてくれた。



───憂太が、キスしてくれた。



───憂太が、愛してるって言ってくれた。





幸せが込み上げて止まらない。


喜びが溢れて張り裂けそうだ。



愛しくて愛しくてたまらない人が、一緒に死ぬとまで言ってくれる。




幸福、
歓喜、
高揚、
興奮、
恍惚、
快楽、
熱狂、
好意、
恋愛、
情意、
性愛、
溺愛、




愛しい、

愛しい、

愛しい、

愛しい、

愛しい、

愛しい、

愛しい、

愛しい。





全ての歓喜が混ざり合って、全ての感情が混ざり合って、


あの春の太陽よりも眩しく輝く、闇のように深い感情へと溺れていく。




牙を剥いた口だけがついていた、里香の顔。


その中心に、大きな瞳が開く。



笑うように大きく口が裂け、里香の姿が、存在が変質する。





『あああああ゛あ゛あ゛、憂太！ 憂太っあ゛！』




解放される。


里香の全てが解放される。




“愛”という名の、眩しい闇が、里香の中へと満ちていく。



ぶるぶると震えながら咆哮を上げて、それでも留まることなどない。


胸の奥から溢れる気持ちは、無限の如く湧いてくる。



魂を燃やすような愛の言葉を、絶叫せずにはいられない。




『大大大大大大大大大大大大大大大─────大好きだよぉ!!!』

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