依存濃度120% shp ページ16
「よろしく、ショッピ君」
「ん。別に呼び捨てでええよ、A」
「じゃあ、呼び捨てで呼ぶね」
そう屈託のない笑顔で言った同室に、俺は直前までの悶々した気持ちが払拭された。
数年前、俺は軍人として入隊した。だがどこかやる気が出なかった。別に戦争が怖いだとか訓練が面倒だとかそう言う訳では無いが、どうしてだか気力が無かったのだ。
長々とした説明を終えて、部屋の案内にうつる。この国はどうやら男女関係なく部屋分けされるらしく、俺の同室になった人物がAだった。
女性は少し苦手な対象だったが、Aだけは何故か何とも思わなかった。むしろ近付きたい、仲を深めたいと思うほど。月日が経つにつれ、Aに対して特別な感情を抱いていた。
「…疲れた」
「お疲れ様、ショッピ。また怪我してきて…。ちゃんと応急処置はしなきゃ」
「でもAがしてくれるやろ？」
医療班に所属するAの方が応急処置は倍以上に上手いし、Aにされる時間が心地よい。
だから俺はどんな怪我をしても一才応急処置はしない。
Aにしてもらう為に。
「勿論するよ。でも、私が手当出来ない時もあるんだよ？もし放置して化膿したらどうするの」
心配そうに眉を下げるAの顔も堪らなく好きだ。
このやり取りは何千回目だろう。
優しい手付きで背中に包帯を巻かれる。自然とAとの距離が近くなる。こればかりはいつまで経っても慣れない。
「……そう言えば隣の部屋の子、殉職したって」
「……そうなん」
「うん。護衛兵として任務を全うして亡くなったみたい…。チーノ君と同室の子」
隣の部屋の二人はとても仲が良かった。あのチーノと馬が合う人物は中々居ないだろう。その片割れを失ったチーノはこれから生きていけるのだろうか。
「気の毒やな」
「ショッピも、居なくならないでね？」
「多分な…」
「私を一人にしないで…！」
包帯を巻き終えたAはそう言って背後から俺を抱きしめた。今までこんな事はされなかったから、俺は動揺してかける言葉を失う。行き場のない自らの手をAの小さな手に重ねた。
「ショッピが居なくなったら私、やっていけないよ…。ショッピが居たから今まで頑張ってこれたの…。お願いだから、居なくならないで…！」
まるで親に縋る子供のように泣きじゃくるAに、無意識に口角が上がっていた。
依存してたのは俺だけじゃなかったようだ。
Aが同室で本当に良かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 237人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
できるニート(プロフ) - Re_Neo Raim＠サモラン楽しいいい!!!さん» 運命ですもんね() では題名に変えずにこのままでやらせていただきますね〜 (2022年11月23日 21時) (
レス) id: aa8ab397e1 (このIDを非表示/違反報告)
Re_Neo Raim＠サモラン楽しいいい!!!(プロフ) - できるニートさん» 運命でしょ？()全然大丈夫ですよ！運命なので！() (2022年11月23日 21時) (レス) id: 614a0191a1 (このIDを非表示/違反報告)
できるニート(プロフ) - Re_Neo Raim＠サモラン楽しいいい!!!さん» え！これは運命ですね(( もしあれでしたら題名変えた方が宜しいでしょうか…？ (2022年11月23日 21時) (レス) id: aa8ab397e1 (このIDを非表示/違反報告)
Re_Neo Raim＠サモラン楽しいいい!!!(プロフ) - 凄い！僕と同じ題名の小説があるなんて！それに書いてる実況者さんも同じだし！運命かな！？() (2022年11月22日 18時) (レス) id: 614a0191a1 (このIDを非表示/違反報告)
はくまい - 流石です！とても面 白くて作者様の文章力には驚くばかりです！夏休みの宿題の読書感想文を手伝ってもらいたいぐらいです！(冗談です)ありがとうございます！ (2022年7月28日 10時) (レス) @page31 id: 18b0f48236 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：できるニート | 作成日時：2021年3月25日 23時
