「食」から 始まる物語 rbr ページ43
あの人はよく食べる。小柄な体型のどこにそれが収まっているのか分からないけどよく食べる。
それも美味しそうに食べてくれるものだから、料理を提供している私も嬉しいものだ。
今日もいつもと同じ時間帯にやってきて、他の軍人さんを驚かせる量を口に入れている。
もぐもぐと咀嚼する様は、どこかハムスターを連想させた。ロボロフスキーという種類のハムスターがいたような。
「ロボロさんって、ほんとよく食べますよね」
隣で料理を作っている料理長にそう言えば、彼は困ったような顔で��ほんとにね��と相槌を打った。
彼曰く、ロボロさんが料理を頼みすぎて食材が無くなってしまう時があるとか。
「でも、ああやって食べてくれると、嬉しいですね」
「そうだなぁ」
料理長と会話をしていれば、ふとロボロさんの動きが止まった。私が作った料理＿＿ビーフシチューをじっと見ている。
(もしかして、味が気に食わなかった？)
そんな不安がよぎる。ビーフシチューは今回初めて提供したものだったからだ。
私が故郷でよく食べていた味を再現したつもりだったが、ロボロさんにとってはイマイチだったのかもしれない。
「＿＿なぁ、これ誰が作ったん？」
食堂に響くロボロさんの声。刹那、食堂が静まり返る。私は勇気を持って「はい」と手を挙げた。
「…君は、最近入った女の子の」
「Aと申します。あの、そちらの料理、口に合わないようでしたらお下げしま＿＿」
「え？！いややそんなの！むしろ逆！美味すぎて感動してる！」
慌てて撤回したロボロさんは、またビーフシチューを頬張った。アチッ、と小さく飛び上がったのは見なかった事にしておこう。
「今までたくさん食べてきたけど、こんなに感動したの初めてやで！いつか作り方教えてや」
「え、は、はい！是非…！」
「いや、ちゃうなぁ。Aさん、やっけ。俺らの国で料理人として働かない？専属シェフ、なんて」
あざとく笑うロボロさん。驚く私。何故か私より喜ぶ料理長。ビーフシチューを頼み始める周りの軍人。
「ここの食堂は全部旨いから他の奴らにもオススメしてたんやけど、如何せん少し離れてるからなぁ。でもAさんが俺らのとこで働いてくれたら、その味いつでも楽しめると思うんよ」
「私でいいんですか…？！」
「おん。Aさんじゃなきゃやだ」
笑顔で言ったロボロさんに私は顔が赤くなるのを感じた。こんな形で出逢うとは、思ってもいなかった。
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
