弱ってる所を付け狙う ut ページ5
電話越しに聞こえる震える声は、明らかに僕を動揺させにきていた。いつも明るい彼女とは想像できない。弱々しい声で彼女は言葉を紡いだ。
『失恋、しちゃった』
発せられたその言葉と同時に、彼女が好意を寄せていたあの憎たらしい男が脳裏に浮かぶ。
顔はいい上にクラスの人気者、彼女とはお似合いと噂されていたのを耳にした覚えがある。
だが性格は僕以上に屑で。
アイツに捨てられた女は数えきれない。もしかするとギネスに登録出来るかもしれないぐらいにだ。
その裏の性格を知っている女は意外と多く、陰口はかなり叩かれている。
僕自身も彼女の事を傷付けたあの男に殺意が湧いている。
「やから言ったやろ？あの男はやめておけって」
彼女の声が収まったのを見計らって口を開く。
相談を受けた時に"アイツは駄目だ"と釘を刺したが、無駄だったようだ。
『だって、鬱が言っても説得力ないんだもん…』
「それは……そうかもしれへんけど」
僕じゃなくてトントン辺りだったら信用されてたん？クソ、こういう時に日頃の行いが良かったら信用されてたんか。
『あんなに仲良くされたら誰だって勘違いしちゃうよ。あんな酷い言葉投げつけられるなんて、思ってもなかった』
嗚咽がノイズと一緒に耳に通る。彼女を泣かしたアイツが憎い。ホンマ、一回死んでくれへんかな。
「僕は四六時中罵声浴びてるけどなぁ」
『ふふ…鬱は女にだらしないもんね』
震えてはいるものの、彼女のトーンは少し明るくなった。泣いてる姿は似合わない。笑ってる方が絶対似合う。彼女は。
『…ごめんね。こんな夜遅くに。』
「ええんやで」
『鬱の言うことちゃんと聞いとけば良かった…』
ため息は少し寂しそうで、こっちまで哀愁を感じてしまう。もっと、僕が彼女の事を引き止めていれば良かったんか。
「A。あのさ」
『なぁに？鬱』
＿＿あんな奴やめて、僕にしいひん？
気持ちが弱っているAの心をこじ開けようとする僕も、アイツと同じかもしれへんな…。
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
