悪役という名の善役 kn ページ4
誰も授業の内容を理解しようとしない教室。チョークの音も、クラスメイトたちの話し声で掻き消される。ちゃんと授業を聞けよと思うが、その中の一人が私なので何とも言えない。
テスト前に暗記をすれば何とかなる教科なので、私は前の席のコネシマとその斜め前の鬱と世間話をしていた。
たわいもない話をしていれば、授業中にも関わらず廊下を歩く女子生徒が一人。
"あの子どうしたのかね"と前にいるコネシマに聞けば、彼は肩を竦めて"さぁ"と言った。
その会話に気付いた鬱が廊下を見る。隈が目立つ目がカッと開いた。
鬱は急に立ち上がり先生に適当な言い訳を言って教室を出て行く。確かにあの子は美人だったけど、授業を抜けてまで連絡先をゲットしたいのだろうか。
そんな事を考えていれば、それを見透かしたコネシマが口を開いた。
「さっき通った奴、大先生の幼馴染やで」
「あ、そうなん」
「おん。女に目がない大先生やけど、幼馴染にだけはめちゃくちゃ優しいんやで」
「へぇ」
「興味ないん？」
「まぁ、ないね。私には関係ないし。鬱の幼馴染に何があったのか知らないけど、どうでもいいわ」
思った事を述べれば、コネシマに鼻で笑われる。ペン回しをしていた手を止めて、此方に体を向けた彼はノートに落書きをし始めた。
「Aは他の奴らに興味ないよな。そんなんだから彼氏おらんちゃうの」
「興味無いんじゃなくてどうでも良いんだって。あの人カッコいいなぁ、って感情はあるけど、すぐ倦怠期きそうだし」
「心ないもんなぁ」
「コネシマに言われたくないわ」
ノートに描かれる落書きは意外と上手い。コネシマが描いたと言えば皆は驚きそうだ。
「じゃあ俺が倦怠期来ないように感じさせてやろうか？」
「……え？」
「…何でもないわ」
プイッと顔を背け板書を始めたコネシマ。ノートに描かれた絵の側に"すき"という二つの文字。
…変に意識しちゃうじゃん。
絡み合う糸のような想いが私の気持ちを支配する。
男を作ったところで他の子に妬まれたり陰口言われるだけだ。それが嫌だからずっと避けてきたのに。
どうせ高校生活もあと僅かだし、委ねても良いのかな。
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
