ONLY LOVE ５【ARS】 (ページ45)

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147 幸せな空気感。ページ45

side.S

今日のニノはどこかいつもと違う。さっきの言葉もそうだけど何か引っかかる。

そして俺のこういう違和感は大抵当たる。

きっと誕生日当日だからお昼の事を何か想像したりしていたのだろうか。しかしまたニノの誕生日でもないのに何で…という疑問は一先ず置いておこう。

そして昼前に潤がキッチンに立って料理を始めた。殆どは朝方に作り終えたから後は仕上げをするだけらしい。

あ、俺は潤が料理してるのを真正面から見てるっていう何とまぁ不思議な光景。

その後、雅紀と智くんが降りてきて暫くして俺の誕生日会が始まった。

「「翔ちゃん！誕生日おめでとう！！」」

「ありがと」

グラスを重ねて四人の顔を順に見る。ただそれだけの事なのに幸せだなぁと感じる。

視線を合わせた四人は各々の反応をした。

智くんはふにゃっと優しい笑みを浮かべて大きく頷いてくれた。雅紀と潤は照れ隠しのように何度も頷いてくれた。

ただ一人、ニノだけは俺の目をじっと見つめ返して来た。もちろん笑っているんだけどテレパシーというか何か念のようなモノを感じた。

「ねぇ松潤、コレ何で味付けしてんの？」

「あーそれは赤ワインと軽く出汁を混ぜて作ったけど…ん？まずい？」

「いやいや！そんなんじゃなくて。今まで食べた事ない味だから新作かなぁと思ってさ」

慌てて訂正する雅紀を見ながら俺も同じ事を考えていた。毎日潤の手料理を食べてるけどこのソースは今まで一度も口にした事がなかった。

「お、良かった。そうなんだよね。ちょっと店長に頼んでキッチン借りて試作してみたら中々いい出来でさ、翔さんも好きかなぁと思って」

チラリと俺に視線をやった潤に「俺もこのソース結構好きだよ」と言えば嬉しそうに笑った。

「相葉さんが分かるなんて…やっぱり日頃から潤くんの手料理を食べてると自然と舌も肥えてくるもんですね」

「そう言うにのちゃんは気付いてたの？」

「当たり前でしょーが」

雅紀とニノが俺たちの中ではムードメーカーというか空気を引っ張ってくれている。

そして潤は時に二人に混じって馬鹿をする事もあるけど殆どは智くんと一緒に笑って見ている。

そんな光景を見ていると俺はこの四人が居なくても生けていけるのだろうか。そんな不安が渦巻く。

でも答えは明らかだった。

俺らこの人達ナシでは生きていけないのだ。

「ずっとこんな日々が続けばいいのになぁ」

そんな小さな俺の呟きの後に二つの視線を感じた気がした。