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side.A
最近、翔ちゃんはいつになく様子がおかしい。
俺や風間ぽんの顔を見る度に何か言いたげな顔をして、慌ててその目を逸らす。
「何かあった？」と聞いても翔ちゃんが口を開くことはない。
「翔ちゃん、今日は皆んなで寄り道しない？俺も大ちゃんも部活サボってさ」
昼休み、いつもの様に屋上に四人で集まるこの時間に翔ちゃんに提案する。
「寄り道ってどこに？」
「うーん、そうだな。遊園地でも行く？」
元々、行き先を決めていなかったのは痛いミスだけど、翔ちゃんと一緒に居れるなら何処でもいい。
未だに大ちゃんはボンヤリしているけど、楽しいことは決まってるんだから。
風間ぽんは大ちゃんと翔ちゃんと遊園地に行けることが余程嬉しいのか、俺の顔を見るなりニコリと笑う。
「いいでしょ？」と少しの圧をかければ、大ちゃんと翔ちゃんも頷く。
翔ちゃんを笑顔にするきっかけを作りたくて、素直に甘えられる環境を作りたくて。
「はぁ、早く放課後になんないかなぁ〜」
「どうせ後二時間なんだから、大人しく待ってなよ。で？計画はもう立ててんの？」
こう見えて割ときっちりスケジュールを立てないと気が済まない風間ぽんが俺のノートを覗き込む。
ノートには授業の内容などこれっぽっちもなく、書いてあるのは乗りたいアトラクションの名前。
「よくこれで満足できるよね？俺なら絶対無理だわ」
俺のペンを取るなりスラスラと何かを書き込んでいく。
「なにこれ？」
「空いてるアトラクションの時間は把握してあるから、これ通りに行けば全部回れるよ」
ドヤ顔で語る風間ぽんは意外と遊園地好きで、こういうことには驚くほど詳しい。
風間ぽんと2人、盛り上がっていると教室が騒がしくなる。
「相葉、いるか？」
「岡田先輩！どうしたんですか？」
扉の前に立っているのは大ちゃんと同じクラスの岡田先輩。
俺も何度か話したことはあるけど、教室に来てもらうような関係性じゃなかったはずなんだけど。
「俺…何かしましたか？」
何か怒られるようなことをしたかと必死に思い出すが特に出てこない。
「お前じゃねぇよ、大野と櫻井が今日は早退するってさ。それを伝えてくれって頼まれてさ」
先輩は俺と風間ぽんの顔を交互に見ると少し気まずそうに目を逸らした。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年9月1日 14時
