ONLY LOVE ３【ARS】 (ページ31)

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side.N

式典が終わり教室では担当教師がタラタラと話している。

俺はその時間の殆どを考え事に費やしている。
そして、もちろんそれは潤くんのこと。

まさか彼が新入生代表として挨拶をするとは思いもせず、さっきの潤くんの挨拶が今も尚、頭にこびりついている。

「…ず、和？どうかした？」

後ろから名前を呼ばれてハッとすると、もう終礼も終わっていたようでクラスメイト達が次々と教室から出て行く。

「あっ潤くん…俺達も行こうか」

既に鞄も持っており帰る準備が整っている彼を見て慌てて鞄を手に取る。

教室を出るとすぐ横の方に相葉さん達が待っているのを見つけた。

「すいません。お待たせしました。あっ、えっと彼は松本潤くんです。俺と同じクラスで」

相葉さんと風間くん、翔さんに潤くんのことを軽く紹介する。

この後のご飯に潤くんもどうかと尋ねれば快く了承を得ることができ、俺も潤くんもホッとした。

そんな中、相葉さんが「あー！」と声を上げる。

「もう…びっくりした。雅紀どうかした？」

恐らく翔ちゃんも風間くんも、まぁ俺もなんだけど相葉さんの叫び声には慣れている。

風間くんなんて、溜息が出るほどだ。

「松本潤って、さっきの挨拶の子？」

「あぁ、はい。そうです」

潤くんもいきなりのことに案の定驚いていて。

「…まつもと…じゅん。じゃあ松潤でいい？」

「え？あっ、はい」

戸惑いながらも相葉さんの空気に飲み込まれているといった感じだろう。

それにしても戸惑っている潤くんの顔は相当面白くて翔ちゃんも風間くんも笑いを堪えるのに必死だ。

まぁ、ここに居る人達はみんな相葉さんのこのあだ名攻撃に一度は遭遇している。

今回は後輩の潤くんだったからまだしも、翔ちゃんまでもそう呼ぶのだから、いかにも相葉さんらしい。

とはいえ、その流れで俺も翔ちゃんと呼んでいるのだから不思議なものだ。

「おっ、大ちゃんからメール来たよ。"了解。翔くんのことヨロシク。楽しんでおいで"だってさ」

「これで大野先輩の許可も取れたし安心だね」

大野先輩という存在を知らない俺と潤くんはさっぱり分からないのだが、ここでは敢えて口にしない。

その時、潤くんが小さな声で唐突に呟いた。

「櫻井先輩って、すっごくカッコイイですよね」

「なんか潤くんが言ったら変な感じ…」

肝心の翔ちゃんには聞こえていないようだが、俺としては翔ちゃんに興味があるという潤くんがすこく新鮮だった。