82 隣のイケメン。 ページ15
side.S
ニノと潤の年下二人と抱き合って暫くして、最初に照れ始めたのは潤。
いきなり離れたかと思えば、サーっとキッチンに戻って行った。
それを見ながらニノもぬくっと起き上がる。
「潤くんったら照れちゃって。今なら翔ちゃんに思う存分、抱きつけるっていうのに」
ニノはニノでよくそんな恥ずかしいことを…
「何言ってんだよ…まったくもう」
「まぁまぁ…今日は二人きりですし、潤くんのことも甘やかしてやって下さいよ」
ポンと俺の肩を叩いて２階に上がって行く。
「和、お前朝ご飯食べろ……っていつも言ってんのになぁ」
潤の声にも軽く手を振るだけ。
まぁ智くんも食べるだろうし、残る心配はないけど普段からニノは少食だからな。
「翔さん、準備出来たらそろそろ行こうか？」
智くんの分のご飯をテーブルに置いてエプロンを外すと俺の方を見て嬉しそうに笑う。
「うん。準備はもう出来てるし、そろそろ行こうか」
智くんには昨日のうちにきちんと出掛けることも伝えてある。
言わなかったら当たり前だけど心配するしね。
「じゃあ、翔さん」
「へっ、？」
いきなり顔を近付けて、俺をじっと見つめる潤。
ぺたぺたと首の辺りを触られ、これが健康チェックだと気付く。
「ほんと、いきなりなんだから」
「何？翔さんってばビックリしちゃった？」
冗談めかして笑いながらも俺のことを気遣っているのは優しい目を見れば分かる。
「今、辛くない？大丈夫？」
「大丈夫だよ。じゃなきゃ起きてこないし」
「それも、そうだね」と笑う。
荷物を取りに行こうと上に上がろうとすれば、「俺が代わりに行く」と階段を駆け上がって。
こんなに嬉しそうに生き生きとしている潤を見るのは久しぶりのような気がした。
ニノの言う通り今日は思う存分に甘やかしてやらないとな。
と言いながらも
「今日は一体どこに行くわけ？」
潤からはこの日を空けておいてくれとしか言われていないし、何も聞かされていない。
「翔さんが絶対に喜ぶ場所。だから翔さんは安心して俺の隣に乗っててよ」
チラッと助手席に座る俺を見て笑う潤は本当にイケメン。
これが彼女だったら大変なことになってるんだろうな。
「ねぇ 潤は今、彼女とかいるの？」
「ちょ、翔さんってばいきなり何言い出すんだよ」
別に彼女の一人くらい居てもおかしくないのに、そんなに動揺しちゃって。
それも潤らしい。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年9月1日 14時
