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side.S
『俺はずっと翔くんの傍にいる。ぜってぇ離れたりしねぇ。翔くんが離れろっても離れてやんねーから。鬱陶しいぐらい付きまとうから』
嬉しかった。本当に心の底からそう思った。
でも、それと同時に今この瞬間にでも離れなければいけないと頭の中で警鐘が鳴る。
ずっと、傍にいるなんて俺には出来ないって最初から分かってたはずなのに。
言い聞かせるようにすればするほど、離れたくないという思いが強くなっていく。
静かな部屋にシャワーの音が響く。
俺の我儘を笑って聞いてくれた智くんと一緒に早々と帰ってきたのはいいものの、部屋に一人になるとどこか異世界にいるようだ。
何をする訳でもなくソファーで智くんが上がってくるのを待つ。
ちょうど目の前に置いていたスマホが震える。
“体調大丈夫ですか？
都合が良ければ明日会いたいです”
メールを送ってきたのは風間くんだった。
文面からしてこの、会いたいはいつも通りではないと見える。
きっと俺に聞きたいことが、確かめたいことがあるはずだ。
“体調は大丈夫。心配かけてごめん。明日のこと、10時にあの場所でいい？”
端的なものだったかもしれない。
でも、風間くんなら俺の思いが通じるんじゃないかって。
強くなると決めたのに、俺は結局甘えてしまうんだ、全てを知っている人に。
“ありがとうございます。無理はしないでね、今日はゆっくり休んで”
もたれかかって、自分一人では立とうとしない。
「ょーくん、しょーくんってば！」
耳元で名前を呼ばれ我に返る。
でも冷静になれば冷静ではいられなくなる。
「智くん、近いって。それに服もまだ着てないじゃん！」
「まぁ、細かいことはいいじゃんかよ」
下着を身に着けバスタオルを巻き付けたまま、俺の隣にドカっと腰を下ろす。
細かいことって…俺にとっては大きすぎる問題なんですけど。
智くんは絵を描くことが趣味で、運動部に入っているわけでもないのに体を動かすことが好きで。
だからこうして横に並べば簡単にタンクトップの下着から見える筋肉に魅了される。
「どした？おいらの事じっと見て。久しぶりにやりたくなっちゃった？」
サラっとそういう事を。
「もう！この変態野郎」
紅くなっているであろう顔を見られないように顔を背ける。
「翔くんってば可愛すぎんだろ…」
隣から聞こえたその声に舞い上がる自分がいた。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年9月1日 14時
