ONLY LOVE 2【ARS】 (ページ46)

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74 諦めたくない。ページ46

side.M

俺の言葉は和にも雅紀にも全く響かず、快く許すような様子もない。

それに雅紀に至っては今は多分、混乱してるだろうし。

俺としては特に続ける言葉もないから箸を進める。

すぐに和が雅紀を引っ張って行く。

俺に申し訳なさそうな顔をする辺りから、和なりの魂胆は見えてくる。

俺が料理人になりたいと言ったのは何年のことだっただろう。

いや、決して今も諦めた訳ではない。

さほど夢というものを強く抱かなくなっただけのことだ。

今思うことは時間に都合が付けれて、この家にずっと居られるような職を手にしたいということ。

これといった特技もない俺には料理ぐらいしかなくて、料理だけは唯一自信が持てるものだった。

だからこそ、この家に来た当初俺は自ら料理担当を申し出た。

翔さんの体調に合わせた献立。

それでも他の四人の栄養面も考えてのもの。

それを面倒に思うことは一度もなく、寧ろどんどん楽しくなっていった。

料理という世界にのめり込んでいくようだった。

でも、この家の料理担当だからこそ他の四人よりも深く知っていることもある。

俺が料理にのめり込んでいく反面、金の問題があることも事実だ。

翔さんと大野さんは高校の頃から同棲していたが、あまりお金の話にはならなかったというのも知っている。

何らかの収入源はある。

ただ、それは三ヶ月前までの話だ。

毎月、誰からなのかは俺は知らないが一定の金額が振り込まれていたのだが、それが突如として途絶えたのだ。

つまり、誰かが働かなければ金は減っていく一方ということ。

ダンダン、と物凄いスピードで階段を駆け下りてくる雅紀。

息を切らしながらも俺に掴みかかってくる。

「はあっ…なんで！なんで俺らには相談なしで理由も言わずに決めちゃうの！」

怒っているのか泣いているのか、色々な感情がごちゃ混ぜになっている。

「それは、ごめん。でも、誰かが働かないといつかは……」

「大ちゃんだって絵の仕事してるし、ニノだって松潤だって…バイトしてるし、それに俺がプロになったらちゃんと稼ぐから」

捲し立てるように話す雅紀はどこか負い目を感じているように見える。

「松潤も自分の夢、諦めないでよ！」

その言葉に俺の何かが泡になって消えていくような感覚が襲う。

相葉さんだって、和だって、大野さんも。

＿＿＿＿でも俺には何もないんだ。