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side.O
あれから翔ちゃんの熱は順調に下がっていき朝には平熱に戻った。
「もう熱も下がったし今日は学校行くから」
「まだ一日ぐらいは安静にしてないと」
「どうして？もう平熱だよ。智くんだって俺が学校に行った方が気兼ねなく創作活動出来るでしょ」
俺が何度引き止めても翔くんは頑なに学校に行くからと言って聞かなかった。
翔くんがこんなに頑固だと知ったのも一緒に暮らし始めてからだ。
もうすぐテストがあるし休みたくない気持ちは分かるが快く承諾は出来ない。
それに俺の創作活動って。
確かに昨日は午後からはサボったから部活には行ってないけど。
「おいらにとっては創作活動なんかより翔くんの方がよっぽど大事なんだよ」
ビクッと肩が揺れて俺をじっと見つめる。
疑念を抱いているようにも見えるその表情が晴れるように大きく頷く。
翔くんは「俺も…ごめん」と頭を下げる。
そっとその身体を引き寄せて抱きしめる。
「ねぇ翔くん。風間くんのことさ……」
「ん？風間くんがどうかした？」
どうして俊くんと呼んでいたのか、そう聞こうとしたが言葉に詰まった。
聞いてはいけないという感覚的な判断だった。
咄嗟に「なんでもない」と言葉を重ねる。
翔くんはまだ不思議そうに俺を見ているような気がしたが、その顔が見えないように彼をひたすらに抱きしめ続ける
それから数秒もしないうちにチャイムがなった。
その瞬間にお互いが手を離す。
翔くんはさっきまで座っていた席に、俺は玄関に向かう。
モニターに映し出されたのは噂の風間くんと雅紀だった。
「どうしたの？こんな朝早くから」
「翔ちゃんのお見舞い。どう？もう調子戻ってきた？」
雅紀がいつもより少し押しが強いように感じるのは俺の勝手な所為だろうか。
それに対して風間くんはどこかぼーっとしていて、俺と目が合うこともない。
「翔くんならもう元気だよ。でも、今日は念の為に休むことにしたんだ」
「そう？よかったぁ。もう治っちゃったのかぁ…まぁいい事なんだけど。大ちゃん、前に一度家に呼んだっきり何も言ってくれないからさぁ」
心配しちゃった、と笑う雅紀が俺の知らない何かを知っている気がした。
「大野先輩、すいません。俺たちはもう行きますので、また学校で」
風間くんが頭を下げて雅紀を引っ張って行く。
その後ろ姿が焼き付いて離れなかった。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
