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side.kazama
「風間ぽんってやたらと大ちゃんのこと敵視してない？」
「はぁ？何それ？」
テスト前で部活もない相葉ちゃんはいつも通り俺の家に来ていた。
でも、唐突も唐突だ。
そういうところが彼らしかったりするんだけど。
「だってお昼の時だっていっつも翔ちゃんと話してるしさぁ…」
あぁ、真面目に受け取った俺が馬鹿だった。
相葉ちゃんは昔からこういう奴だと知っていたはずなのに。
「それって嫉妬ですか？」
ニヤつく顔を抑えるのは難しいものだが、それ以上に心から相葉ちゃんが素直で可愛いと思える。
俺としては全く大野先輩を嫌ってるわけでも避けているわけでもないんだけど。
「そんなんじゃないけど…けど、何か2人して親密そうなんだもん、俺と大ちゃんはそっちのけだしさ」
口を尖らせて膨れる姿はニノにそっくりだ。
「ごめん。そんなつもりはなかったんだけど」
俺と櫻井先輩が2人で話しているのが羨ましくなって、俺が大野先輩を敵視しているという結論に至っというわけね。
「じゃあ気まずいわけでもないんだね？」
俺が頷けば「よかったぁ」と息を吐き出し俺の肩を抱く。
「まさか、気使わせた？」
思い切り首を振る相葉ちゃんに余計な心配を掛けてしまったと後悔が押し寄せる。
そんな後悔を打ち消すように俺の頬を摘んで笑う。
「ねぇ、どうして大ちゃんも翔ちゃんも家には連れて行ってくれないのかな？」
先程とは打って変わって肩を落としている。
それは相葉ちゃんが本当に櫻井先輩と大野先輩を大切に思っているということを証明していた。
「やっぱり2人きりがいいとか、そういうことなのかなぁ…」
「いや、それだけじゃない」
大野先輩が俺たちを頑なに家に上げない理由は知られたくない何かがあるのだろう。
きっと、それは大野先輩も知らないことのはず。
「それって、、」
「櫻井先輩のことだと思う。きっと俺らには言えない何かがあるんだよ」
そして、それは俺が知っている櫻井先輩のもう1つの姿なのだろう。
「今度 大ちゃんに話してみようかな」
どこまでも真っ直ぐに突き進んでいく相葉ちゃんは眩しくて汚れなくて。
あの頃の俺とは正反対だ。
櫻井先輩が、翔くんが、あの頃出会っていたのが俺じゃなくて相葉ちゃんだったら…
そんな後悔と共に今度こそはという想いが強く俺を突き動かした。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
