65 ずっと続けば。 ページ31
side.N
顔に何かが触れる感覚に目が覚める。
いつの間に寝てしまったのか。
体を起こすと恐らく潤くんが掛けてくれたであろうブランケットが床に落ちる。
時計を見れば11時。
この時間ならもう皆んな寝ているはずだが、さっきまで寝ていた俺にはもう一眠りは出来そうにない。
冷蔵庫から炭酸水を取り出してコップに移して、テレビを付ける。
音量は出来るだけ小さくして、ソファーの上でもう一度ブランケットに包まる。
チャンネルを弄りながら目に止まったのは、とあるバラエティー番組。
思いのほか面白く深夜に一人よく笑った。
ふと後ろから誰かの足音が聞こえ、誰かと振り向けば寝癖を付けた大野さんがいた。
「どうしたんすか、大野さん」
見たところトイレでもなさそうだし。
「それは俺の台詞だって。ニノこそ何やってんの？」
つかつかと歩いてきて、俺の隣に座る。
「何でもないですよ。ただ変な時間に寝ちゃって寝れないだけです」
俺がそう言えば、ふわりと笑う。
「あんだけ飲んでりゃなぁ」
珍しいと言いたげな顔で俺を見る。
「何かあった？」
「いえ、幸せだなぁって。この時間がずっと続けばいいのにって。そう思ってただけですよ」
普段は言わないようなことをサラッと言ってしまったことに今更気付く。
真面目に答えただけあって後からどんどん恥ずかしくなる。
「ずっと続けば…か」
一番そう願っていたのは大野さんのはずなのに、どこか悲しそうで諦めているように聞こえた。
「気にしてるんですか？潤くんに言ったこと」
否定も肯定もしなかったが、それが大野さんなりの答えだと捉えた。
『ニノと松潤にその覚悟があるなら証明してくれ。俺はもう二度と翔くんを傷付けたくないんだ』
あの時の大野さんの言葉は力強くて、本当に翔ちゃんのことを大切に思っているのがひしひしと伝わってきた。
大野さんは俺を見てはふふっと笑って、頭を撫でる。
「…ほらっ早く寝ないと明日もあんだろ」
その瞬間、突如として肩に重みを感じる。
「何で貴方が寝てんのよ……」
俺の横で気持ち良さそうに眠る大野さんを見ていると自然と俺も眠くなり。
気付けばまた眠りの世界に行っていた。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
