61 準備の大変さ。 ページ27
side.N
「あつい…」
「にのぉ。口に出さないでよーもっと暑くなる」
俺だって言いたくて言ってる訳じゃないですけど。
もう夏も終わって秋になろうというこの時期でも太陽は容赦無く照りつける。
そうなれば嫌でも自然と口から出てくる。
「グダグダ言っても仕方ないだろ、やるって言い出したのは俺たちなんだし」
なかなか作業が進まない俺と大野さんを一喝したのは潤くん。
昼前のこの時間に俺たちがやっているのはバーベキューの準備。
今日のバーベキューはこの前の夏の大会で見事優勝した相葉さんをサプライズで祝うというもので。
俺はコンロの準備、大野さんはテーブルだの椅子だのを設置して、潤くんは勿論料理を担当してる。
翔ちゃんにはバーベキューのことは伝えてあるが、朝の健康チェックで大野さんが中で休んでいるように伝えた。
翔ちゃんは準備も手伝いたいと言ったが、相葉さんの見張り役という大事な役目をお願いした。
「にの。こんな感じでいいかな？」
仮テーブルを設置して前々から準備していた装飾を始める。
流石は大野さんで、綺麗な字でおめでとうの文字が並ぶ。
「もうちょっと上に上げた方がいい？」
「いや、丁度いいと思います」
高さを調節して次々と飾り付けていく大野さん。
丁度 潤くんがキッチンから野菜を乗せた皿を持って庭に来る。
「松潤ってば涼しそうだなぁ」
未だ暑い暑いと、駄々を捏ねてる大野さんが縁側で中の潤くんから野菜を受け取る。
「ちょ、大野さん。あんまり大きな声出したら雅紀が起きるだろ」
そして潤くんから最もらしいことを言われてる。
中に近い縁側でそんな大声でやり取りしてちゃサプライズの意味もなくなる。
コンロの準備も終わり、肉や野菜も着々と仮テーブルに並んでいく。
料理が終わって潤くんも庭で残りの作業を手伝ってくれて、漸く準備が終わった。
中に入って俺と大野さんはもうぐったりで。
潤くんが冷たいお茶を入れながら「二人ともおじいちゃんじゃないんだから」と笑う。
おじいちゃんではないけど、俺と大野さんなんてほとんど家から出ない組なんだから。
しばらくリビングで涼み、交代でシャワーを浴びに行くことにした。
俺と大野さんがシャワーを浴び終わり次第バーベキューを始めるらしい。
また直ぐに汗をかく気がするが仕方ない。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
