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side.O
あれから雅紀としばらく話していると翔くんが帰ってきた。
「ただいま…って雅紀？今日、部活は？」
「お邪魔してます。大ちゃんが部活休みならうちに来いって」
「智くん…雅紀も忙しいんだからさぁ」
帰ってきて早々に怒られるって…しかも俺先輩なのになぁって言ったって勝てるわけないや。
俺のことはそっちのけで翔くんは、夜ご飯食べて行くでしょと雅紀と楽しそうに話している。
雅紀はその言葉にはしゃいじゃって、ハイハイ俺は料理を作れってことでしょ。
楽しそうに話しているニ人を見ながらチャーハンを作る準備を始める。
雅紀は制服から部屋着に着替える翔くんをずっと見ている。
「まさきー翔くんは俺のだかんな」
キッチンで料理をしている俺は二人とは少し距離があるが、雅紀からは大きな声で分かってますという声が返ってくる。
翔くんは完全に何言ってんの？みたいな顔をしているが俺としてはそんな顔をされたところで、可愛いだけだ。
出来たチャーハンを三つにわけてエプロンを取っていると、その皿を雅紀がテーブルまで運んでくれた。
翔くんも雅紀もペロリと完食して、でも雅紀はしばらく帰るつもりはないのか三人揃って他愛もない話をしていた。
「智くん、明日さぁ先に帰ってて」
何の流れか翔くんはサラッとそう言った。
明日…明日は、金曜日だ。
そう繋がった瞬間、雅紀もそのことに気付いたのかバッチリ目が合う。
「そう、分かった。先に帰ってるね」
雅紀からは物凄い視線を感じるが、今ここで何処に行くのかと問いただしたところで翔くんは絶対に答えてくれないだろう。
「ねぇ、翔ちゃ」
「今度、また三人で遊びに行こうよ」
雅紀が何を言おうとしたかは定かではないが咄嗟に言葉を重ねていた。
智くんから言い出すなんて珍しい、と翔くんは笑ったが俺が言い出したことが余程嬉しかったのか雅紀が言いかけた言葉には気付いていないようだった。
結局、雅紀が帰ると言ったのは辺りもすっかり暗くなっている時間だった。
「送っていこうか？」
「いいよ。俺だって男だよ、翔ちゃん」
「それもそうだな。今日はありがとう。気を付けて帰りなよ」
翔くんにも俺にもしっかり挨拶して帰る雅紀はいつの間にか心を許している一人になっていた。
「ねっ、雅紀はやっぱり凄い人だよね」
俺の心が分かるかのように言う翔くんを見れば、とても優しい笑み浮かべていた。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
