ONLY LOVE 2【ARS】 (ページ20)

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59 芯の通った奴。ページ20

side.M

「やっぱり動きも違うし、シュートだって、」

「はいはい、さっきから同じことしか言ってないじゃない」

昨日見学に行ったプロチームの試合をひたすら語り続ける雅紀。

和は昨日の夜から散々聞かされたらしく、軽くあしらっているが雅紀は全く懲りていない。

朝ご飯を食べ終わっても、日曜ということもあってかずっとリビングに居座っている。

いつもなら、こういう時は大野さんに任せてるんだけどまだ寝てるし、和はあの通り不機嫌だから、今日は仕方ない。

「あのぉ相葉さん。掃除したいんでコーヒー早く片付けてもらえます？」

「いいじゃん、ちょっとぐらいさぁ。松潤も聞いてくれない？ほんとにカッコよくて」

ダメだ、こりゃ。

ソファーから動く見込みもなければ、俺にまで話が飛んできそうだ。

いつもなら少しぐらいは聞いても、と思うのだが生憎バイトが朝から入っているのだ。

「雅紀、俺にも聞かせてよ」

そんな俺を見かねたように翔さんの声が飛ぶ。

話を聞いてもらえると聞いた雅紀はすぐ様飛びついて翔さんの部屋に行く。

その雅紀がもう犬そのものといった感じで尻尾を振っているのが安易に想像できた。

「翔ちゃんってば、わざわざ相葉氏に自ら絡みに行くなんて…」

「まぁ翔さんらしいよ」

「でも、今の相葉氏に絡んでもいい事あるとは思えませんけどね」

きっとバスケの話は後二時間は続くだろうな。

「ほんと、バスケ馬鹿なんだから」

とか言いつつも和だって雅紀がバスケしてるのは好きなんだから、お前は分かりやすい天邪鬼だな。

「潤くん、俺決めましたから」

「うん？」

「俺の夢は変わらない。悲しむ人に寄り添って生きること。でもそれは翔ちゃんだけにするつもりはありません。俺は強くなりますから」

昨日、俺が言ったことをずっと考えていたんだろうと思うと本当に芯の通った奴だと改めて感じさせられた。

「あぁ和なら、なれるよ。でも辛くなったらいつでも言え、俺が話ぐらい聞いてやる」

なんて臭いこと言っちゃって。

「あら優しい、でもそんなカッコよく決めてていいんですか？」

やべ、すっかりバイトの時間を忘れるところでだった。

早くしないと、と笑う和にやはりどこか上手だと思わされる。

時間を確認しながら素早く洗い物を済ませて、部屋から鞄を持ってきて財布と携帯を突っ込む。

掃除は和に代わってもらって、慌てて家を飛び出した。