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side.S
昼休み、いつも通り食堂に行っても智くんの姿はなかった。
まだ教室にいると思い、食堂を出るとふと後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「お久しぶりです、櫻井先輩」
「あっ…風間くん」
一年の風間くんだった。
雅紀の親友で、俺の顔見知りの一人。
「あれ？雅紀は？」
いつも一緒にいる二人なのに雅紀がいないことが妙に気になった。
風間くんは、あぁ、と言って笑った。
「今日は休みなんですよ。昨日、夜中まで漫画読んでて風邪ひいたらしいです」
徹夜で漫画を読んで、それで風邪……
なんか雅紀らしいな。
自分で言いながら笑ってしまっている風間くんに、俺も雅紀を心配しながらも少し笑ってしまった。
「で？どうかした？」
いつもはすれ違っても会釈をする程度だから、呼び止めるということは何かあったのだろう。
「久しぶりに…二人で話したいなと思って…」
しどろもどろ、というかとにかく気を遣っている事だけは直ぐに理解した。
「今日の放課後とか空いてますか？」
何事も早い方がいいだろうと、特に部活もしていない俺は放課後という選択肢を出した。
今日は智くんと出掛ける予定だったけど、、ごめん智くん。
結局、学校終わりにそのまま近くの喫茶店にでも行くことにした。
「だから…ごめん。今日は俺、風間くんと帰ることになって。先に帰ってて」
向かい合ってカレーを食べながら智くんに頭を下げる。
この会話の通り、俺と智くんは同棲？というかルームシェアをしている。
もっと簡単にいえば、一緒に住んでいるということ。
「お、翔くん。おいらに隠れて浮気か？」
「はぁ……俺が浮気なんてすると思う？」
智くんの冗談に半ば呆れながら、少しは嫉妬してくれていることに喜びを感じる。
「じゃ、帰ってきたら翔くんにたっぷり甘えてやろーっと」
「もう、お好きなだけどうぞ」
んふふ、と少しデレたように笑う姿も本当に可愛くて。
「相変わらず仲いいなぁ、お前らは」
「あっ、岡田先輩。お久しぶりです」
通り掛かった岡田先輩に慌てて立ち上がって挨拶する。
「なんだよ、岡田っち。また俺の邪魔かよー」
「いやいや、デートがドタキャンになったお前の顔を見に来てやったんだよ」
ドタキャンじゃねぇーよ、と言い返す智くんを見ると申し訳なくなってしまった。
それでも、ごめんと謝っても気にするなと言わんばかりの笑顔だった。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
