44 再会に料理を。 ページ1
side.A
「相葉さん、分かってると思いますけど馬鹿みたいに辛くしないで下さいよ」
「分かってるって」
俺の隣で同じくキッチンに立つニノがパスタを茹でながら俺が作る麻婆豆腐を覗き込んで言う。
どうしてニノだけじゃなくて俺も料理してるかといえば、今日は松潤が帰ってくる日だから。
１週間も日本を離れていたし、洋風な顔をしてる松潤だけど日本は好きだし、第一この家を離れるのは寂しかっただろう。
そしたら、翔ちゃんが松潤の好きな物作ってあげてと言うもんだから俺とニノの二人でキッチンに立っているという訳。
翔ちゃんは料理は全く出来ないし、俺達が包丁は怖くて持たせられない。
けど、大ちゃんは何でも器用にこなすから勿論 料理も上手い。
翔ちゃんも俺も皆、大ちゃんが作るあんかけチャーハンは最高に美味いことを知っている。
で、その大ちゃんが俺の傍に近付いてきて、
「でも、松潤って麻婆豆腐、、好きだったけ？」
と俺の方を見て笑う。
「それって絶対、雅紀の好物だよね？」
大ちゃん、分かってて言ってるな。ホントに。
「まぁ、雅紀が作ってくれてるんだからイイじゃん。それに雅紀の作る麻婆豆腐は美味しいし」
遠くから優しい翔ちゃんからのフォローが入る。
具材を炒め始めていたニノは、俺と大ちゃんの様子を見てはくすりと笑う。
「そろそろ、帰ってくる頃だね」
奥でテレビを見ていたはずの翔ちゃんがどこかソワソワしてキッチンに来る。
「翔くんってば、心配しなくてももうすぐ帰って来るんだから」
「ただいまー」
大ちゃんがそう言うのと同時に松潤の声が聞こえた。
両手一杯にお土産を抱えて帰ってきた松潤は翔ちゃんを見るなり、柔らかい笑顔を見せた。
この一週間、電話したりメールをしても実際に会うのとでは全然違うのだろう。
俺も合宿の時はいつもこうなるから。
「おかえり、松潤」
「ただいま」
聞きたいことも、話したいことも有りすぎたが、いつもと変わらない松潤の顔が見れたことが俺にとっては何よりのお土産だった。
「相葉さん、早く運んで下さいって言ってるのに…」
「だから、それは……まだって」
慣れない料理当番は全くスムーズに進まず、松潤の帰宅に間に合わないどころか、見兼ねた松潤が、
「相変わらずだな、、俺も手伝うよ」
とエプロンを身に付けて松潤がはいってくる。
さすが料理担当だな、なんて思ったり。
やっぱり頼れる弟だな。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年7月10日 21時
