9 正しい答えは。 ページ9
side.A
天気予報にない雨が降ってから３日。
今回は症状も軽く済んだようで、３日経った今日はいつも通りダイニングテーブルで新聞を読む翔ちゃんの姿を見れた。
「もう、大丈夫なの？」
「うん、心配掛けてごめん」
翔ちゃんはこの手の質問は必ず謝る。
謝るような事はしてないでしょ？っていうのはもう俺の口癖だな。
「今日も朝練？」
「そう。もうすぐ練習試合もあるしね」
松潤からいつものおにぎりを受け取って翔ちゃんの横に座る。
「雅紀は上手いからプロになれちゃうね」
目玉焼きを頬張りながら冗談でもなく真っ直ぐに綺麗な瞳でそう言う。
俺はそんなことないよ、と決まって笑って誤魔化している。
俺は中学の頃からバスケをしていたし、翔ちゃんと出会った高校生の頃は本当に暇さえあればバスケばかりしていた。
まぁ、それは今も変わらないか。
「おはよーございます」
「おはよう、ニノ」
俺の後から起きて来たニノも翔ちゃんがこうしていつもと変わらない姿が見れて嬉しいんだよね？
見てれば、分かる。
その気持ちはみんな同じだしね。
「翔さん、大野さんは？」
「まだ、寝てるよ。
昨日は随分描いてたみたいだから」
「へぇー」
この早い時間に大ちゃんは起きてこないだろうと思ってたけど、昨日も描いてたんだ…
「やっぱ、大ちゃん凄いなぁ」
「でも智くん…いつも締切が短い依頼は断ってるの」
あぁ、俺は何と答えるのが正解なんだ。
知っている。
大ちゃんが少しでも翔ちゃんと一緒に居れるようにって急ぎの仕事や締切があるものは大抵断っているのだ。
翔ちゃんが気付いていない訳はないんだけど、でもこうした場合に上手く返す言葉を俺は持ち合わせていない。
「大野さんは気楽に描きたいのよ。ほら、あの人昔っから時間とか制限されたくない人でしょ？」
そんな時、咄嗟にフォローしてくれるのはニノで。
「で、雅紀はこんな時間までくつろいでて大丈夫なの？」
ぼーっとしている俺を動かしてくれるのは松潤だ。
「あっ、やっべえ」
何も出来ない俺に出来るのは翔ちゃんが悲しくならないように、ずっと笑顔で居られるようにする事だって…
今できる精一杯の明るさを出した。
「いってらっしゃい」
でもそう言って送り出してくれた声は二つだけで、俺の大好きな優しい翔ちゃんの声はなかった。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
