8 秘めた想いは。 ページ8
side.M
翔さんの症状が出た事はバイトに入る前から知っていたから、店が一段落したところで上がらせてもらえることになった。
俺がバイトしているのは大学から程近いファミレス。
大学自体、電車一本で行けるからそれ程遠くない。
電車が来る間に和からのメールを確認し、今の翔さんの状態を把握する。
幸い食事も水分も摂れているし、今は落ち着いて眠れてもいるようだから心配ないとのこと。
それでも最寄り駅から家まで走ってしまうのは俺の性分なのだろうか。
「ただいま」
翔さんは寝ているとメールがあったが自室なのかリビングなのか、あやふやだったから静かに声を掛けてドアを開けた。
「お帰り、潤くん」
リビングに入れば、キッチンで洗い物をしている和とソファーに座ってテレビを見ている雅紀。
そこに翔さんの姿はなく自室で寝ているのだと悟った。
同時に大野さんも居ないから今も翔さんの傍に居るのだろう。
「翔ちゃん、松潤のこと呼んでたから夜ご飯食べたら顔覗きに行ってあげて」
さっきまでソファーに居たはずの雅紀がいつの間にか俺の隣に来て、そんな事を言うもんだから驚いた。
というか、正直固まった。
「大丈夫……取り乱してはいないから」
俺が黙っている間に察したであろう和が付け足す。
分かっている。
和のお陰で翔さんの心が落ち着いているのは事実だから。
「いいよ、先に行ってくるわ」
「そう言うと思った。ハンバーグは温めとくから翔ちゃんのこと、よろしく」
足速に自室に駆け上がり、鞄と上着をベットに放り投げて翔さんの部屋に向かう。
起こさないようにこれまた静かに扉を開ける。
規則正しい寝息が聞こえてきて、ベットを覗けば翔さんと翔さんに寄り添う様にして眠る大野さんの姿があった。
邪魔したくないと思いながらも一言だけと思い、ただいまと小さく言い放ち、また静かに扉を閉めた。
「翔ちゃん、寝れてた？」
リビングに戻れば既にテレビは消えており、雅紀もテーブルで缶ビールを空けていた。
「うん、二人仲良く寝てたよ」
「そっか、良かったぁ」
「最近の天気予報もなかなか当たりませんね。潤くんも飲みます？」
冷蔵庫から雅紀が飲んでいる物と同じ缶ビールを出して俺に見せる。
「うん、飲もうかな」
誘われたとはいえ、３人揃って缶ビールを飲むとはな。
でも俺達はみんな感じてる。
俺は、…俺達は何が出来るのだろう？
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
