38 自由ってなに。 ページ41
side.A
大ちゃんが部屋から出てきたのを見て、確実に事態の悪化を察知した。
大ちゃんはさっきから物凄い不機嫌だし、ニノも松潤もそれは分かってんだけど、そりゃ翔ちゃんのこと気になるわな。
軽くニノとアイコンタクトを交わして俺は大ちゃんの部屋に向かった。
翔ちゃんはずっーと下を向いたままで、このままじゃいつ、精神状態が悪化してもおかしくないことを頭では分かっていても直ぐには笑顔で話しかけることが出来なかった。
とにかく、翔ちゃんを俺の部屋に連れて行き、ベッドに座らせる。
絶妙なタイミングで松潤が薬を持って部屋を覗きに来た。
「これ、終わったらでいいから飲ませてあげて」
「おっけ、そっちは？大丈夫そう？」
「俺は完ぺきにキレられてるわ。でも仕方ない。今はニノが必死でやってくれてる」
翔ちゃんに聞こえないように小さい声で言った松潤は、少なからず傷付いているはずなのにそれを感じさせないように笑って言った。
翔ちゃんは相変わらず下を向いて嘆いているが、ここからは俺の頑張りどころだ。
いつもは、ニノや大ちゃんにこういう時は任せっきりだったけど、今は俺なんじゃないかって。
翔ちゃんは暫くは口を開くことはなかった。
でも、心を決めたようでゆっくりではあったが話し始めた。
「俺、もう、自由になって欲しいよ」
「雅紀も、ニノも、潤も。それに一番は智くん」
俺の目を真っ直ぐ見つめて、言った。
「俺は自由に生きてるよ。毎日楽しいし！翔ちゃんは？皆でこうやって暮らすの楽しいって思わない？」
これは俺のありのままの答えだった。
翔ちゃんに聞いてみたいと思っていたことだった。
でも、翔ちゃんは楽しいとも嫌だとも言わなかった。
ただ、俺の目を見つめたまま、
「自由って、なんなの？」
そう言った。
「自由っていうのは悲しくても辛くても、何があっても笑顔でいることなの？」
翔ちゃんには、無理して笑顔でいるように見えていたのかな。
ならそれは俺も間違っていたし、翔ちゃんも間違ってるね。
「自由っていうのは、色んな涙を流すことなんだよ」
「、、涙？」
そう、今だって翔ちゃんは泣いてる。
でもそれは心の中だけ。
「ちゃんと声に出して泣かなきゃ。俺はちゃんと泣いたよーいっぱい、いっぱい」
翔ちゃんはずっと悩んでたんだね、俺たちのことを縛ってるんじゃないかって。
でも考えすぎて翔ちゃんが自由じゃなくなったんなら意味ないよ。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
